日当たりのすこぶるわるい家がある二千八百万円の札をかかげて
さくら葉が土の上にて濡れているやがては土になる定めにて
雨多き夏は終わりて河原には葦の繁りのすさまじきこと
何となく懐かしければ道の辺のおしろいばなの種あつめたり
ふたたびを柴犬連れてゆくひととすれ違いたり川沿いの道
用あれば真昼ケーヨーD2にシャンプーいっぽん買いて帰りぬ
少年とその母親と庭にいて庭には咲けり秋の黄の花
川沿いを走るひとには抜かされて歩くひとには抜かされずゆく
ときどきはサディスティックになるこころ抑えおさえてただ歩くのみ
夕闇の自動車修理工場はわがゆく道をほのぼの照らす
_/_/_/ 未来2月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ 笹公人 選歌欄 (未来広場)_/_/_/
※ 9首目、結社誌では「サディステック」となっていましたが、
正しくは「サディスティック」です。