埼玉の水は合わぬと妻言いき七年前の春の日のこと
本来の意味にて妻に使われし重き言葉の「水が合わない」
スーパーに無料で汲める清き水あるとし聞かば汲みにゆくなり
寄る辺なきこころのままに歩くのはけしの花咲く川沿いの道
しなやかな耳のようにも思われて五月の空を聴くけしの花
あるはずのコンビニエンスストアーが更地になっている昼下がり
野球部の姿をしたる少年がわれを抜かして走りてゆけり
七年をほろりほろりとほぐしつつ岸辺の道をゆけば暮れゆく
_/_/_/ 未来6月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ 笹公人 選歌欄 _/_/_/