麦畑

太陽と大地と海は調和するミックスナッツの袋のなかで

夏は来ぬ

2015-09-01 00:14:59 | 短歌


夏は来ぬ 南天の葉がとめどなくとなりの庭にはみ出していて

水道の蛇口の高さに伸びている狐薊の孤高ぞよろし

母子草、姫踊子草、小錦草 根こそぎ抜いてゆかねばならぬ

杉菜ってきみどり色の炎だね それはともかく抜かねばならぬ

連休だ。どこへ行っても混んでるに決まってるんだ。われは草引く

一生を草引き過ごすこともよし それで暮らしてゆけるのならば

十薬の根のやわらかさうらむべし優柔不断なわれにさも似て

竜の髭を決して抜いてはなりません きみの言葉を守るひたすら

草引けば二時間ほどはまたたく間 土の匂いに癒されている

草引いてぬっと出てきた芋虫をもとに戻して土かけなおす


  ※ ルビ   狐薊(きつねあざみ)


_/_/_/ 未来9月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ 笹公人 選歌欄 _/_/_/

 

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