木の花のぽたんと落ちて脇をゆくわれにいやしき詩ごころ起こる
オシロイバナ、キバナコスモス、桜木の下にあらそい咲きてうるさき
むきだしの蘂の黄色はみだらなりキク科の草のちいさき花の
枯れ花をあたまにつけてヒガンバナ待ち人来ずの姿に立てり
川沿いのコンクリートの遊歩道 川のかたちにゆらりと曲がる
六弁のましろき花のうつくしき君の名前を知りたしわれは
通り雨、どうしようかという顔に鷺立てりけり刈田の真中
カーラジオつけっぱなしのゆうぐれのそして九月の竹内まりや
ゆうやみは日光街道沿いにたつはちみつ屋さんに灯りをともす
霜のごとましろき花と葉を持てる銀竜草をむかし見たりき
※ ルビ 真中(まなか)
_/_/_/ 未来1月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ 笹公人 選歌欄 _/_/_/