まどろみの

まどろみの君のまぶたのなかにある見たことのない月のうらがわ

_/_/_/ 角川短歌１０月号　公募短歌館 _/_/_/
_/_/_/ 吉川宏志さんに選んでいただきました。（佳作） _/_/_/

少しずつ

少しずつ高原の地価は上がりゆく来るその日に備えるごとく

_/_/_/ 角川短歌１０月号　公募短歌館 _/_/_/
_/_/_/ 秋葉四郎さんに選んでいただきました。（佳作） _/_/_/

わがかつて

わがかつて作りしというオノマトペ「するするさぽん」と「ぺぱ」のお話し

港湾のテトラポットに波よせて波ひくときの「するするさぽん」

お風呂場のかねのたらいに水道の水が一滴おちるとき「ぺぱ」

父母の記憶のなかに生きていた「するするさぽん」と「ぺぱ」のふたつは

わがかつて作りしというオノマトペわれふたつとも覚えておらず

四十年のときをへだてて今ここに「するするさぽん」と「ぺぱ」は帰り来

駅々に

駅々に違うかたちの切りくちのかけらを残してきっぷはゆくよ

_/_/_/ 夜はぷちぷちケータイ短歌（９月１９日放送分） 月間テーマ「切符」 _/_/_/
_/_/_/ 東直子さんに選んでいただきました。 （放送外） _/_/_/

みどりなす

みどりなすコスモス畑に風わたり咲きはじめたるコスモスふたつ

川ぞいのコスモスロードの外がわのコスモス畑は細ながかりき

炎天のコスモス畑に草を引くひと暑かろやときに休めよ

用水路護岸がっちりコンクリで固まりおれば歩きやすしも

いま咲いているコスモスは何だろう夏のおわりの秋のはじめに