そのなかにちいさな種をかかえ込みススキの綿毛がふわんと来るよ
ススキの穂みんな南を向いている風のせいだね北からのかぜ
夕闇にほのかなひかり灯すごとコサギは立っている川のなか
川のなか風うけながら立っているコサギの首の細さあやうし
ほそくびの花びんに水を満たすときコサギの首をおもうであろう
気を抜いたコガモは川に流される川の流れる速さのままに
ぼんやりとコガモのつがい見えてくる雄と雌との色ちがうから
いっせいに飛び立つコガモ五十余羽ぼくのせいだね羽音がこわい
ゆるやかなすべり台ほど長いもの保育園の庭だあれもいない
ゆうぐれの畑耕すおじさんのタバコの先がときおり光る
_/_/_/ 未来4月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ 笹公人 選歌欄 _/_/_/