麦畑

太陽と大地と海は調和するミックスナッツの袋のなかで

カレンダーに

2016-01-30 23:47:48 | 短歌


カレンダーに小さな文字で書かれたる三りんぼうとは如何なる棒か

三りんぼうはあるいは土地の名前かも香林坊は金沢にある

三りんぼうは唐の高僧の名前かも三厘刈りの髪のみじかさ

迷信の最たるものの三りんぼう江戸時代から続くならわし

ひと言で言わんとすれば兎も角も三りんぼうの日には家を建てるな

三りんぼうを漢字で書けば「三隣亡」隣り亡きとはあなおそろしや

遠縁の関係なのかもしれないね三りんぼうと怒りんぼうは

迷信の最たるものの三りんぼう今の世にあり小さな文字で


_/_/_/ 未来2月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ 笹公人 選歌欄 _/_/_/

 

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かわせみが

2016-01-03 19:17:23 | 短歌


かわせみがそこにいるよと教えられ教えたひとはいってしまえり

川沿いの道にはみだすいたどりの仕方がなくて葉も茎も踏む

ふねにふね曳かれてゆくよ古利根川ふたつのふねの速さひとしく

橋という橋はあくまで生真面目に川の右岸と左岸をむすぶ

この街の西にそびえる電波塔空をささえるには細すぎる

使わなくなったバイクを売りに行く最後のツーリングだぜとか言って

やがて来るその日のための乾電池あわれ古びてゆくほかはなく

茶柱といえばそうかなコンビニにペットボトルのお茶立ちならび

あまつぶが粒のかたちをやめるとき屋根のおもてに雨音はたつ


_/_/_/ 未来1月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ 笹公人 選歌欄 _/_/_/

 

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