麦畑

太陽と大地と海は調和するミックスナッツの袋のなかで

七角の

2022-12-30 23:33:44 | 短歌

 

七角のかざり窓からぎらぎらと前衛建築家にらんでる

チーカマのふくろひらけばたちまちに発熱をするちいさな何か

「東京駅(仮)」なるステーション千年後にあらわれるかも

こころゆくまで願掛けをするひとよ後ろのひとがつかえています

あかつきの難攻不落のダンジョンは迷い込んだら火のにおいする

ひとむかし前のくるまの音ぞよし耳の記憶をたどってゆけば

はりつめた神経として咲いているダリアは呪文を唱えはじめる

わが体をめぐるすべての血球に意思あるごとき夜もありたり

蜜を吸うときにおじぎをするだろう飼い慣らされた揚羽蝶なら

あさがおは明日に咲くか今日咲くか思い悩んでいるのだろうな


_/_/_/ 未来1月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/

 

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シウマイを

2022-12-02 19:34:48 | 短歌

 

シウマイをぱかんと割ればぞろぞろと衒学者たちあらわれわたる

カーテンに風はらませているようなきみのなかへとさし込むひかり

来年の春を待ちきれないぼくは(渦巻状に)踊りはじめる

リモコンのリセットボタンを押すたびに伸ばされてゆくクリップのこと

気の利いたコーヒーカップは言うだろう「それは砂糖じゃなくて塩です」

ありあまる若きちからよ唐突にぱきんと折れる鉛筆の芯

ほんとうは風になりたい洗濯機の底にうずまくハンドタオルは

のどかなるひとときはたちまちに崩壊すぎゅいんぎゅいんとスマホが鳴れば

がたごとん休み休みに進むとき山手線は酸素が足りない

惑星が生まれた朝を思いつつくちに溶かしてゆくカンロ飴


_/_/_/ 未来12月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/

 

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