二本とも二階に置いてあったこと忘れかけてた赤いラケット
ラケットに貼りっぱなしのシールからテニスガールが「がんばれ」と言う
くるりんと回してぎゅっと握ったらわがてのひらに馴染むグリップ
六年を経てよみがえるこの感じテニスシューズに足を入れれば
「見た目だけは超上手い人みたいだな」なーんて言われて悪い気はせず
断末魔の声こそあらめ絶好のチャンスボールを打ちのがすとき
お遊びのテニスとはいえ勝ちたしとおもうこころはゆるぎなきもの
ゆうぐれのテニスコートは砂だらけやがて四人の足砂まみれ
_/_/_/ 未来9月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ 笹公人 選歌欄 _/_/_/