おはじきのようにぱちんと弾かれてたどり着いたの関東平野
喜橋 青毛堀川 にごり水 夏は暑くて冬寒い街
埼玉の水は合わぬと言い続け十数年が過ぎてしまった
忘れようにも忘れられない波のごと地面が揺れたあの日のことは
川霧が薄れてゆけばあらわれるうすぼんやりとした筑波山
夕暮れの跨線橋から見えるのは富士山の完ぺきなシルエット
ひとたびも東武動物公園を訪れることなくさようなら
今生の別れと思うひとと飲み別れ際かたい握手を交わす
ぴゅんぴゅんとスイカの種を吐いている姉いもうとのまぼろしの庭
草だらけのちいさな庭よさようなら くすんだ色の家さようなら
※ ルビ 喜橋(よろこびばし) 2首目
※ ルビ 青毛堀川(あおげほりかわ) 2首目
_/_/_/ 未来6月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/