未来年間賞を受賞したので「抒情の奇妙な冒険」(笹公人選歌欄)から「ニューアトランティス」という欄に移ることになりました。これからは笹公人先生の選が無くなるので寄稿した歌はぜんぶ載ることになります。欄は移りますが歌は今までどおり笹先生に提出いたしますし歌会でのご指導は変わらず受けることになりますので、私は笹先生の門下生であることに何ら変わりはありません。
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花は赤 ブーゲンビリアの花ならん 花と花とが手をつなぐかな
手をつなぎ黄色いひよこが消えてゆく 横一列にならびしばかりに
五十代半ば中間管理職 落ち物ゲームにはまる夜の更け
妻も子も眠りしのちに飲む酒の酔えばよろしき夜のよあそび
むらさきのひよこ売られていたりしを思えばかなし昭和の終わり
雨ふれば雨に濡れゆくプレハブの中なるわれは乾いていたり
かりそめの胡桃の色をつくらんと赤・黒・黄を混ぜる昼すぎ
ヤギの毛の刷毛のやさしさ シナの木の木目のゆらぎ つつまれながら
石けんをよく泡だててよく洗う 胡桃の色によごれた指を
午後五時を知らせる「恋はみずいろ」が恋を忘れたわれらにひびく
※ ルビ 胡桃(くるみ)
_/_/_/ 未来2月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/