休まねばならぬひと日というものがありて休みぬ冬のひと日を
切りそろえられてまあるい生け垣をなでつつゆけりゆるき歩みで
二年分の記帳をすればカシャカシャと印字されたりわが営みは
百円のハンバーガーとコーヒーにいともたやすく誘われたり
ケチャップの甘たるい味たしかめて食めばパリリとピクルスは鳴る
背表紙をしばしながめているところ岩波文庫はこころやすらぐ
楽器屋がたしかあったと思ったがただそこにある壁のきたなさ
レターパックライトに詰め込む刺繍糸妻の母へと送らんとして
がん保険見直しませんかという電話切りて思いきわれの残生を
このゆうべの家族四人の糧となる五分搗き米の二合を研がな
※ ルビ 誘(いざな) 4首目
_/_/_/ 未来6月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/