麦畑

太陽と大地と海は調和するミックスナッツの袋のなかで

自転車の

2020-05-09 15:49:21 | 短歌

 

自転車のタイヤの空気をたしかめる今日乗ってゆく娘の自転車

荷台には焼きたてのパンを乗せてゆくレーズン入りの自家製のパン

久喜市から武蔵野市へとゆく道の降りやまぬ雪にぬれている道

降りやむと思っていたが降りやまず雪降るなかを自転車でゆく

荒川にかかる長い橋越えるとき寒くて寒くて死ぬかと思いき

半分に割れば湯気たつ肉まんで腹を満たせりコンビニの前

東武東上線西武池袋線西武新宿線越えてゆく娘に自転車届けるために

ゆるやかな上り坂さえ上れなくなりて休みきところどころで

ようやくに娘の住まいにたどり着く四十五キロを五時間かけて

この冬のちいさな旅を終わらせて一杯の緑茶あたたかかった


_/_/_/ 未来5月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/

 

 

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さやゑんどうの

2020-05-09 15:38:38 | 新いろは歌

 

2020年のいろは歌の日の作品です。
題「コロナ」または「アマビエ」。#IRH48 1作品  #kiz48 4作品

 

さやゑんどうの酢味噌和へ
極めしお姉庵に居つ
ゆらり旅路を消せぬ夜も
車コロナで向かふ我

さやゑんとうのすみそあへ
きはめしおねえいほにゐつ
ゆらりたひちをけせぬよも
くるまころなてむかふわれ

#IRH48 #いろは歌の日 op.14 2020/4/8

 

コロナウイルスもーやめて
ほんときっちり終わらせよ
消されぬ冬ぞ罪の束
胸に描くべしあまびえを

ころなういるすもーやめて
ほんときっちりおわらせよ
けされぬふゆそつみのたは
むねにかくへしあまひえを

#kiz48 #いろは歌の日 op.74 2020/4/8

 

新型コロナウイルスは
夜明け見えぬと恐れても
ホームに舟を待つ童
八千草の夢筆記せり

しんかたころなういるすは
よあけみえぬとおそれても
ほーむにふねをまつわらへ
やちくさのゆめひっきせり

#kiz48 #いろは歌の日 op.75 2020/4/8

 

雨ふり無残痩せた空
コロナビールに酔えぬ我
鰹の骨を蹴っ飛ばし
今海へゆく気持ちです

あめふりむさんやせたそら
ころなひーるによえぬわれ
かつおのほねをけっとはし
いまうみへゆくきもちてす

#kiz48 #いろは歌の日 op.76 2020/4/8

 

プール帰りに娘たち
コロナをとばし沼へゆく
そう絶品ね君の艶
追われても良い朝ぼらけ

ふーるかえりにむすめたち
ころなをとはしぬまへゆく
そうせっひんねきみのつや
おわれてもよいあさほらけ

#kiz48 #いろは歌の日 op.77 2020/4/8

 

 

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おもしろき

2020-04-02 23:14:50 | 短歌

 

おもしろき庭とおもえるこの庭の土掘れば出る単三電池

ハランの葉なにか企みあるごとしそのわくら葉を鎌もて刈りし

雲ひとつないというのは言い過ぎの何を着てゆくこの冬の街

まっこうから夕陽のひかり受けているわが実存の頬のふくらみ

赤き実を満たして立てる街路樹のとなりに立ちてバス待つばかり

黄に赤に青に塗られて痛々しジャングルジムにむかしあそびき

ガスタンクころがりそうでころがらず豊かなる国のあちらこちらで

スカートを履いたおじさん歩いてる東京 乾いた風 髪飾り

妄想はよからぬ方へゆきながら差し出されたるティッシュをもらう

各々のあやつるヨット浮かぶなかわが漂泊の筏あやうし


  ※ ルビ  企(たくら)  2首目
        筏(いかだ)  10首目


_/_/_/ 未来4月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/

 

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ツイートに

2020-03-06 23:59:01 | 短歌

 

ツイートに知りたる岸田劉生展はやるこころのわが向かいたり

青白き油絵具は無造作に乗せられながら壺がうき立つ

絵のなかの男の頬にひかりあり生けるがごとき肌の質感

ほそき目のおかっぱあたまの女の子 煉瓦の壁に麗子がずらり

油彩画の麗子、水彩画の麗子、コンテ画の麗子、みな右を向く

わが見るはやや右を向く麗子なり麗子自身はやや左向く

ミュージアムショップにあまた並びいる漫画チックな麗子かわゆし

花終えて土あらわなる花時計見ていつ針の微々のうごきを

あずま屋に陽光ふかくさし入りて座れるわれの脚あたためる

ふく風にくらりとゆれる木の幹を支えて朝のプロムナードへ


_/_/_/ 未来3月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/

 

 

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吹き戻す

2020-02-01 21:53:49 | 短歌

 

吹き戻す台風のかぜ受けながら青毛堀川川沿いをゆく

北からの風顔面に受けながらすなわち北へ向かってあるく

川沿いの花壇に咲ける白い花、黄色い花の名前は知らず

知りたいという欲望のさもしさよ 白花、黄花をケータイで撮る

たて長の写真を撮ってゆくことのかすかな違和を受け入れながら

流される感じにおよぐカルガモの いや本当に流されている

ヒアルロン酸の効果はいかほどか髭剃りジェルを購い帰る

『散歩で見かける草花・雑草図鑑』よしオールカラーのちいさな図鑑

白花の名はゼフィランサス 葉は細く花との取り合わせが美しい

黄の花はメランポジウム 一年草 メキシコ原産暑さに強い


  ※ ルビ  白花(しろばな)  9首目


_/_/_/ 未来2月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/

 

 

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かすかにも

2020-01-06 19:08:29 | 短歌

 

かすかにも火薬の香をまといつつどうしようもなく夏が来ている

びわの葉の一葉ごとに一頭の蚊はひそみ居てまひる風なし

特急は色もかたちもよろしくてわたしのことは見向きもしない

右側を下と定めて横たわる秋刀魚の骨のかたちがみごと

ふくらんでゆく蜂の巣のたしかさは蜂のこどもを育んでいる

叱られて言い返せないわたくしの日々の眠りのやすらかなこと

十薬の横ばいの根のやわらかさ「婚は苦行」と誰が言いしか

執拗にあしのうらがわくすぐれば個人情報ながれ出るかも

火を吹けば火の属性と知るものを孤高の竜の声はおだやか

何もかもが終わった訳ではないけれど夏は終わったような気がする


_/_/_/ 未来1月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/

 

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背もたれを

2019-12-08 16:00:28 | 短歌

 

背もたれを倒せば広き車なり娘の荷物と娘をはこぶ

助手席の足元にある空間にあらんかぎりの靴を詰め込む

ブタさんの大きなぬいぐるみも乗せる 二十年来の娘の相棒

本棚の長きを積んでひだりがわ見難きままにゆく東北道

初めてのひとりぐらしはうれしいかさみしいか なんて問うこともなく

武蔵野の道ややこしやややこしやカーナビさんの言うことをきく

十年の昔に買ったカーナビがやさしい声でがんばっている

自家用車にいっぱいの荷物二往復 娘ひとりのくらしのために

今生の別れとまでは言わねども手を振る娘に手を振りかえす

月の夜はあるいは月のなき夜はひとりぐらしの娘を思う


_/_/_/ 未来12月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/

 

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ふたたびを

2019-11-04 14:02:26 | 短歌

 

ふたたびを生きるごとくに白式部芽吹けばのちの死を思わざり

黄の花のしなだれながらつく枝の奥に未熟のプチトマト生る

南天の花散り切りているところいかにも梅雨という雨がふる

眠ろうとして眠れない寝室にあした着てゆくシャツ垂れている

二度漬けは禁止の世界 二度塗りが必須の世界 にんげん界に

ひとり言、あるいは問いかけなんだろか 言葉の澱を沼に沈める

みどり濃き夏の湖畔の別荘地 仕事でなければうれしきものを

わからないことには素直にわからないと言いて帰り来 くねくねの道

五十分待って出てきたほうとうにカボチャとホタテがよく煮えている

おそるべき垂直落下コースター右手に見えて夏盛りなり


_/_/_/ 未来11月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/

 

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友を待つ

2019-10-05 19:03:11 | 短歌

 

友を待つ時のすさびに選びしは岩波少年文庫『人間の歴史』

『江戸期おんな表現者事典』に記されて一万二千人の女におい立つ

黒めがねエッジの効いた黄のめがねくもりの空の下笑いあう

すれ違うケーブルカーに手を振れば赤の他人が手を振りかえす

川中の鯉を眺めに来しゆえに橋の真中にわれはとどまる

こわされてゆく辻さんの家を見て妻と語りきその後のこと

わが庭にむかし額紫陽花ありき花の頃には花を愛でたり

立葵しずかに咲けり「種を持って行かないで」という札を掲げて

鉄塔は真正直な影をなす市営球場の外野の芝に

草色のわが少年の夏の日はライトフライを取り落とすかな


_/_/_/ 未来10月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/

 

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白エビの

2019-09-07 16:14:26 | 短歌

 

白エビの一尾のすがたうつくしくえびせんべいの真ん中にある

猥雑な五秒ののちに訪れて『月の光』はやさしくうねる

あさぼらけひとつの夢を終わらせてふたつ目の夢見んとし眠る

救急車二台がよぎる県道にさわだつ飛沫そののちの凪

低反発マットにごろり寝転べばわが身体どこまでも沈みゆく

お向かいの松下さんちのハナミズキ不労所得のごとくに咲けり

南天の茎のふときを切り落とす ふとき茎得てこころゆたけし

朝夕にみじかき旅を重ねては取りもどすことのできぬ月日ぞ

物欲はおそろしきかな駅ビルに売ってなければ駅前ビルへ

ことごとく桔梗のつぼみをこじ開けて幼きわれは叱られたりき


_/_/_/ 未来9月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/

 

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六月集を読む・2

2019-09-07 16:06:56 | 短歌記事


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六月集を読む・2    鈴木麦太朗

  冷蔵庫をあければ即ち電気がつくかか
  る仕組みをなしとげし人 はや
             大島 史洋
 普段はさして便利とも思わない些細な事
柄を歌にしておられます。いわゆる発見の
歌とも言えるでしょうが、こういう歌を読
むと、短歌は些事を掬い取って詩情をかも
し出すのに適した不思議な詩形だなあと、
あらためて思います。最後の「はや」がと
ぼけた感じを出していて良いです。
  寒おすな今朝方の比叡久しぶりに雪を
  冠って真白どした   藤元 靖子
 「おすな」「どした」に一瞬戸惑いまし
たが、これは京都弁ですね。やわらかな語
調が聞こえてくるようです。私は二十年間
関西に住んでおりましたので、馴染みのあ
る言葉に懐かしさを覚えました。初句はと
なりにいる人に話しかけている感じ、それ
以降は歌の読者に語りかけている感じです。
一首のなかで語りかける対象が切り変わる
のも面白いと思いました。
  山畑の落葉の厚く湿らいて踏みゆく音
  のひそかごとめく   川井 恭子
 結句の官能的な比喩が絶妙です。湿った
落葉を踏んで歩くときのくぐもった音、や
わらかな感触、そしてこころ落ち着くよう
な土の香りまでもが感じられました。
  ヤフーから他のブログへ引越しを半年
  以内にせねばならぬぞ 三平 忠宏
 これは切実な問題ですね。「せねばなら
ぬぞ」という強い決意の表明は切迫感があ
るとともに諧謔味もあって良いです。続く
歌を読むと三平さんはFC2ブログへの移
行を決めて実行されていることがわかりま
す。ご趣味の植物のことを写真とともに記
した読み応えのあるブログ、興味深く拝見
させていただきました。
  二冊ある本減らさんと抜き出せばその
  嵩やがて一箱を占む  中津 正雄
 本が増えてくると、すでに持っている本
を知らずに買い足し、同じ本が二冊になっ
てしまうのはままあることです。そういう
重なった本を集めたら一箱を占めてしまっ
たと中津さんは述べておられます。重なっ
た本で箱ひとついっぱいになるには、相当
の蔵書が無いと起こり得ないと思います。
多くの本をお持ちであることへのうらやま
しさと同時に、書籍整理の大変なご苦労を
思いました。
  手術をば楽しむ如くこの医師は説明く
  れし笑みを絶やさず  柴田 年子
 お医者様は患者さんに心配を与えないよ
うに笑顔でお話をされているのでしょう。
しかしながら、それを聞いている柴田さん
はその笑顔に違和感を持っておられるよう
です。場合によっては人の命を左右する手
術の話を笑いながらするとは何事か、とい
う思いも少なからずあることでしょう。こ
の歌はそんな複雑な心情をうまく掬い取っ
ています。
  小松菜のひと畝ながら春風に色めき育
  つ日々となりたり   砂場  房
 うちの小松菜はひと畝しか無いけれど春
風の中がんばって青々と育っているんだよ、
というメッセージを受け取りました。さわ
やかな印象の歌です。「ながら」が良いで
すね。真似してみたくなる歌です。
  校庭に小紅と摘むちゅうりっぷ、らっ
  ぱすいせん促音教えて 佐久間佐紀
 小紅は佐久間さんが日本語を教えている
中国のお子様のお名前でしょう。掲出歌は、
校庭で花の名前を言いながら、促音の発音
を口伝えで教えているところの描写です。
教室ではなく屋外での実地学習、すばらし
いですね。校庭でのおだやかなひとときが
ありありと伝わってきました。

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たてがみの

2019-08-06 01:27:58 | 短歌

 

たてがみの柔らかそうな馬に乗る乗り換えなしの午睡のなかで

ハムレットにあらざるわれの逡巡はシャツをズボンに入れるか否か

木下道ゆきつつ思う木洩れ日をたまごボーロに例えしひとを

笹原は風がなければ絵のごとし縁に斑をもつ笹も混じりて

絶対に押すなよという姿にて池見るひとを押さずに過ぎる

園内にクシコスポスト流れくるピストルの音を伴いながら

石亀のおよぐ不思議を見ておれば空を飛ぶかもしれぬと思う

坂東の道はうねりを持ちながら百年前にわたしをはこぶ

助手席に帽子を乗せてゆく道はカーナビが知りわが知らぬ道

時として電波事情は悪くなり映画批評はとぎれとぎれに


_/_/_/ 未来8月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/

 

 

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五月集を読む・2

2019-08-06 01:26:57 | 短歌記事

 

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五月集を読む・2    鈴木麦太朗

  一刷けに長く引く雲林の辺の深きにと
  どまり歩き来るに見ゆ 奥住  毅
 初句から四句までで雲の姿をダイナミッ
クに表現し、結句で自身の行動をコンパク
トに述べています。まず初句の「一刷け」
が良いです。青空にさらっと白いペンキで
描いたような雲のかたちが目に浮かんでき
ます。そして「林の辺」と述べることで地
上の景色がひろがります。最後に自身を詠
むことにより、歌全体がぐっと読む者の気
持ちに寄り添ってきます。近藤芳美調とで
も言うのでしょうか、字余りになってでも
力強く詠う姿勢に圧倒されました。
  亡き友の母は去年の秋逝きしと今夜知
  りたる世話になったのに 河村 公美
 ご友人の母君がお亡くなりになったこと、
そしてそのご友人はすでに亡き人であるこ
とをまずは端的に詠んでおられます。こう
いった人事の状況説明をわかりやすく歌に
するのは存外難しいものです。簡単そうに
見えますが、かなり表現を練られたのでは
ないかと思います。また、結句の「世話に
なったのに」という口語の詠嘆、こころの
叫びをそのまま言葉にしたような詠みは感
慨深いものがありました。
  夫に見えわれには見えぬ長の子に物言
  いており暮れてゆく部屋 原 美代子
 何とも切なくて凄まじさも感じさせる歌
です。旦那様はその場には居ない息子さん
と暮れて薄暗くなっていく部屋でお話をし
ているというのです。続く歌も拝読いたし
ました。旦那様の日々の介護は大変なこと
と思います。具体的な事実を述べることで
原さんのいたたまれないような気持ちがひ
しひしと伝わってきました。
  平成の最後の年の賀状にて切手シート
  の当りが多き     小林 永典 
 平成最後とか令和最初を詠む歌はこれか
ら目にする機会が多くなりそうですね。こ
の歌は意外性とユーモアがあって良いと思
いました。そして、ささやかな幸が良いの
です。これが一等が当たって現金三十万円
を得たなどという事になれば、たとえそれ
が事実だったとしても歌にはなりません。
ちなみに今年は私も切手シートの当たりが
多く出ました。四十枚ほどの年賀状の中に
当たりが三枚ありました。
  冷え冷えとわが死の翳の横たわる布団
  を干しぬ冬の日ざしに 龍  圭介 
 冬の日差しのなかで布団を干しながら、
龍さんはそこに自身の死を見ておられます。
布団に横たわって毎夜ひとは眠るのですが、
その姿は死と紙一重なのかもしれません。
そんなことを思いました。「冷え冷え」と
「冬の日ざし」の響き合いが効いています。
この歌に限らず、また龍さんにも限らない
のですが、五か月間「月集」を読ませてい
ただくなかで、響き合う言葉は一首の中の
なるべく離れた所に置くと効果的であるこ
とを学びました。
  ブルースターサファイア婚というがあ
  り婚六十五年 それも過ぎにき
             髭 千代子 
  ほっこりと乙女椿が咲きましたもうす
  ぐ併せて百八十歳    同    
 何という目出度い歌なのでしょうか。夫
婦ともども長生きする。これに勝る幸せは
無いのではないかと思わせる歌です。もち
ろんただ目出度いからという理由で選んだ
わけではありません。調べが良いのです。
一首目は三句と四句、二か所の軽い切れが
歌にアクセントを与えています。二首目は
上の句の語るような詠みと下の句の畳みか
けるような詠みが絶妙なバランスを保って
います。調べの良い歌はすぐに覚えること
ができ、口をついて出てくるものですね。

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家々の

2019-07-26 23:44:48 | 短歌

 

夕景

家々の屋根の角度を見ていたり雪をとどめる突起とともに

仮免許練習中の札つけてなんとゆっくり左折してゆく

うちがわを見せてかなしき自販機の週に一回補充するひと

こわされてゆくビルディング硬そうだがんばれ遠くの黄色い重機

すべるごと東北新幹線はゆくひとを乗せてる感じなきまま


_/_/_/ 短歌総合新聞「梧葉」2019年夏号 _/_/_/
_/_/_/ 2019年夏 現代作家新作五首 _/_/_/

 

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おしぼりと

2019-07-05 23:05:51 | 短歌

 

おしぼりと水を配って待つうちに中山さんがにこにこと来る

笹さんがゆらりゆらりとあらわれる両手に謎の袋を持って

いつだって山口さんはアメリカン本条さんはいろいろなやむ

われひとり誰の歌かを知るゆえに司会をつとめる無記名歌会

かたすみに見えない椅子がひとつあり不動哲平さん座ってる

ルノアールから赤ひょうたんへゆく道のあかがね色の世界を好む

「えっ麦じゃないんですか」と問われたり芋焼酎のロックたのめば

中野駅までの歩みの五分ほど無口なわれは饒舌になる

終バスに間に合わぬことのいくたびぞ午前零時をはや足でゆく

玄関のとびら静かに開いたらなまあたたかき闇おとずれる


_/_/_/ 未来7月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/

 

 

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