往年の魔法少女はやるせなしみちゆくひとに砂かけるかな
うつくしきうなじとおもうひとときよ『墨東綺譚』の挿絵を見つつ
さば缶のさばの背骨をかみくだくわが体内に来よカルシウム
考えても考えてもわからないときはアリストテレスのようにほほえむ
たくさんのおたまじゃくしを入荷して楽譜工場の夏はいそがし
ほしいまま射す陽光に負けたのか夏至の日とけてゆくチロルチョコ
記録的猛暑の時代おとずれてもはや気体化するほかはなし
いくらでも葉っぱ出てくる感じにてけやき街路樹のしげりすさまじ
きらきらとチーズ六個のユートピアまあるい箱のふたをひらけば
渾身のちからになげる硬球は夢ならば衛星軌道をまわる
_/_/_/ 未来10月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/
※ 二首目、「墨」にはさんずいが付きます。