麦畑

太陽と大地と海は調和するミックスナッツの袋のなかで

アリさんら

2023-04-09 00:29:18 | 新いろは歌

 

2023年のいろは歌の日の作品です。
題「虫」。 #kiz48 7作品、#IRH48 1作品。

 

アリさんらホットケーキも蓄えよ
ハチを飼う部屋に娘の熱帯びぬなぜそこ白い触れてみる眉

ありさんらほっとけーきもたくわえよ
はちをかうへやにむすめのねつおひぬなせそこしろいふれてみるまゆ

#kiz48 #いろは歌の日 op.87 2023/4/8

 

ユートピアふやけメロンが虫の餌
翅切れてそこに薬を塗る童波打つ頬も今タッチせよ

ゆーとひあふやけめろんかむしのえさ
はねきれてそこにくすりをぬるわらへなみうつほおもいまたっちせよ

#kiz48 #いろは歌の日 op.88 2023/4/8

 

髭濡れずエモいフナムシあせってる
念を込めボーロおやつとハチ誘うマダラカミキリ夜の庭へゆく

ひけぬれすえもいふなむしあせってる
ねんをこめほーろおやつとはちさそうまたらかみきりよのにわへゆく

#kiz48 #いろは歌の日 op.89 2023/4/8

 

末の世や歌ふ蝉こそをかしけれ
迷路経て熊蜂縁に騒ぎ居ぬ微熱あらむと思ほゆるなり

すゑのよやうたふせみこそをかしけれ
めいろへてくまはちえんにさわきゐぬひねつあらむとおもほゆるなり

#IRH48 #いろは歌の日 op.16 2023/4/8

 

祭日や御神酒に火照るコガネムシ
知恵合わせ濡れない風呂へゆくバッタ酒飲めんよとソースをもらう

まつりひやおみきにほてるこかねむし
ちえあわせぬれないふろへゆくはったさけのめんよとそーすをもらう

#kiz48 #いろは歌の日 op.90 2023/4/8

 

露濡れの蚊取り線香やめておけ
ハエひ弱水路洞穴クモに満ちベープをしたぞ真っ先眠る

つゆぬれのかとりせんこうやめておけ
はえひよわすいろほらあなくもにみちへーふをしたそまっさきねむる

#kiz48 #いろは歌の日 op.91 2023/4/8

 

山裾にホタルあふれてわめくかも
気をつけよ夕陽オーロラ地平線さっぱり見えぬ猫と虫なの

やますそにほたるあふれてわめくかも
きをつけよゆうひおーろらちへいせんさっはりみえぬねことむしなの

#kiz48 #いろは歌の日 op.92 2023/4/8

 

雨の沼とんぼ悲しや夕陽色
キッス経てわれ今朝蝉にラブコール其を妬む蜂つよく萌えおり

あめのぬまとんほかなしやゆうひいろ
きっすへてわれけさせみにらふこーるそをねたむはちつよくもえおり

#kiz48 #いろは歌の日 op.93 2023/4/8

 

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うつしみに

2023-04-03 19:49:36 | 短歌

 

うつしみにこころひとつを宿らせてともに歩めり川沿いの道

河原に吹き流し振る少女いてそのほそながき腕しならせる

北からの風をまともに受けとめていまびんびんに冷えまさる顔

出なくてもいいひと言がこぼれ出す段差を上るとき「よっこらしょ」

ちいさなる犬の重さを胸に抱きひとりのひとが川べりをゆく

水仙の花ざわざわと咲いているだいたい同じ方向きながら

耳穴からラジオの音を流し込む 記憶途切れるとき眠ってる

寒さより尿意まされば夜具を出る 手すり掴んで下る階段

放尿ののちやわらかくなるこころ羽毛の夜具にまたあたたまる

ひとつ目のアラーム止めてふたつ目のアラーム止めて朝が来ている


_/_/_/ 未来4月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/

 

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工房月旦1月号

2023-04-03 19:46:51 | 短歌記事

 

未来4月号から1年間、工房月旦を執筆します。
担当は、さいとう・池田・大島・田中、各選歌欄です。

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工房月旦1月号    鈴木麦太朗

  摘果終え静まりかえる桃畑落とされし桃
  残されし桃       八島 わこ 
 下句のリフレインが印象的。いいリズムを
つくり出している。摘果作業により命運を分
けられた二種類の桃の対比は物思わせる。
  手帳には弱音も吐いて良いだらう薄い紙
なら影も薄くて     酒匂 瑞貴 
 つらい仕事により吐き出したくなった弱音
を手帳に記そうとしている。たしかに文字に
すると気持ちが整理されて少しは気が楽にな
るものだ。影が薄いは印象が弱いという意味
合いがあるので手帳の薄い紙に記せば弱音も
ぐっと弱まっていくようにも思われる。
  唯一の外界のぞむ北窓に叔母はひとりの
  日時計まはす      北野 幸子 
 北窓であれば陽の光は入らない。ゆえに本
物の日時計ならば機能しないはずだ。叔母様
の日時計はこころのなかにあるのだ。「ひと
りの」をはさみ込んだ工夫が活きている。
  かたわらの夫が朝刊めくるたびわが片頬
  はふっと吹かるる    丸山さかえ 
 ユーモラスな歌。朝刊をめくるときに起こ
る風が頬にかかるという至極細かな事象を掬
い取っているのがいい。
  息を吐く間に打つと痛くないらしい、け
  れども注射は「チクン」 紺野ちあき 
 チクンはちょっとした痛みを表現するベタ
なオノマトペではあるがその字面はワクチン
を思わせるのでうまい使い方だと思う。あえ
てカッコに入れたのはそういうねらいもあっ
たのだろう。
  ビーサンを口いつぱいに頬張るごと根管
  治療のラバーダムはも  高崎れい子 
 すさまじい比喩である。ラバーダムはネッ
トの検索画像で確認はしたが実際にはどんな
物か知らない。ただこれがビーサンのような
物だとしたらとても耐えられそうにない。
  かご盛りの有機野菜に味噌つけてポリカ
  リシャクッと音たててはむ
              飯豊まりこ 
 気持ちのいい歌。オノマトペはこれしかな
いというくらいはまっている。かご盛り、有
機野菜といった具体もいい。食べたくなる。
  一万余の核弾頭を胸に抱き自爆せむとや
  水の惑星        藤田 正代 
 水の惑星はむろんこの星、地球のこと。こ
の妄想は多くの人が一度は抱いたことがある
のではないだろうか。これが現実になってし
まう可能性も否定できない世情を憂う。
  三叉路の接点の地に木造の四階アパート
  舳先の様に       山脇 俊子 
 三叉路の角のところに建つアパートを船に
見立てた歌。四階建てで窓が連なっているか
ら大型客船だろう。楽しい発想だ。
  揺らしつつ羽を運べる黒蟻が巣穴にすー
  っと引き入れるを見つ  茂木 敏江 
 細かいところをよく見て歌にしている。ま
た、すーっとがよく効いている。作者が見た
ものをそのまま映像として再現できそうだ。
  スーパーのBGMに「天国と地獄」流れ
  て秋刀魚並びをり    坂井花代子 
 この歌の状況に続く場面を想像した。天国
と地獄の軽快なリズムに乗せられて我も我も
と秋刀魚を買っていく場面である。まあそん
な事は無いだろうけれど。
  白河の関にあらねど大宮は心のスイッチ
  切り替わる駅      池田 照子 
 心のスイッチがいい。大宮駅には作者だけ
が感じる何かがあるのだろう。
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麦太朗家の植物誌

2023-04-03 19:35:10 | 短歌記事

 

未来4月号の「その日その日」というコラムに短文を掲載していただきました。

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    麦太朗家の植物誌        鈴木麦太朗

 わが家の庭に生息する元気過ぎる植物たちのことを書き記しました。お読みいただけると幸いです。
【大葉】生えるままに育てている。秋になると立ち枯れて種をこぼし、春になると恐いくらいにたくさん発芽する。全部を育てる訳にはいかないので間引いて七~八本を残す。葉は虫が食うので人が食べることのできる分はさほど多くはない。
【十薬】抜いても抜いても生えてくる。恐ろしい生命力の持ち主である。根は柔らかくすぐ切れるので抜いても若干は土中に残る。そこからまた成長する。また抜く。終わりがない。
【紫蘭】よく育つ。いつのまにか生育領域が広がっていてびっくりする。五月くらいに赤紫色のかわいい花をつける。
【銭苔】いつもは裏庭に棲んでいるが雨の多い時期は表庭に進出していたりする。油断ならない。
【玉竜】増えも減りもせずしぶとく生きている。まだ一度しか見たことはないが青い真珠のような実が美しい。
【南天】成長が早く二~三年でそこそこ太い幹になる。どんどん生えてくるので折りに触れて剪定している。剪定で得た幹は強靭で、軒下の蜘蛛の巣を払ったり烏除けの柵をつくったりするのに使えて重宝する。
【茗荷】葉は毎年元気に育つが食べることのできる花穂は年によって取れ高の多い少ないがある。去年は豊作だった。
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