上発地村から

標高934mぐらい日記

遥かなる雲南の旅 第四幕(金平朝市~十里村タクシー乗り合い編)

2018年04月25日 | Weblog
旅行記を書くということはどういうことか自分に問うてみた
前回、前々回の旅行記を読み返して思ったのが、読んでいると鮮明にその時の記憶が蘇ってその時の気分をうっすら味わえるということがわかった。
旅行を思い返して味わうことができるのだ。これはもしかしたらお得な行為かもしれないぞ!?と…
そういったわけでとりあえず旅行記はなるべく書くようにしている。よく小学校の遠足や修学旅行で先生が「家に帰るまでが遠足です!」みたいなことを言ってて、なに言っちゃってんだろと思っていたけど、大人になってからは「旅行記書き終えるまでが遠足!」なんて勝手に思っちゃったりしてますが…

まあそんなわけで金平の朝を迎えた。旅の疲れも手伝ってか結構ぐっすり眠れた。
まずは身支度を整え、朝飯を視野に入れ町の飛び出す。昨晩の雨はすっかり上がっていたものの、まだ路上はしっかり濡れていて少しだけ肌寒い。
宿泊しているホテルのすぐ脇、昨晩子守りをしていたお兄ちゃんが立っていた市場付近に行ってみたら、まだ濡れている路上におじさんおばさん達が敷物をしてその上に野菜を置いて売り始めていた。その数は続々と増えて、常設の市場に向かう下り坂はいろんな食材で賑やかに飾られていった。
炒ったヒマワリの種、キャベツに白菜にパクチー、菜の花やそれに似たアブラナ科の野菜、ニラやセリ、きゅうり、たけのこ、茄子、ぜんまい、インゲンにカリフラワーなどなど…ペットボトルに入った芋虫風なんかもあったけど結局それが何なのか最後までわからなかった。
ここにきてやっと少数民族の衣装をきた女性(比較的ご年配のご婦人)を多く見かける。やっと国境付近にやって来たんだなという実感がうっすら湧いてきた。だんだん面白くなってきたのだが、とりあえずはやはり腹ごしらえだ。とにかく俺なんかよりも朝飯を100倍重要視するS氏はまず飯を食べる算段をはじめた。昨晩目星をつけておいた米銭屋(ミーセン屋)に入った。入ったといっても例によってオープン食堂なので路上に椅子とテーブルを出しているような店なのだが。ミーセンとはスープ仕立ての米粉の麺料理で、トッピングに牛肉や鶏肉、様々な薬味が入った、ベトナムのフォーに近い雲南省ではけっこうポピュラーな料理だ。今回の旅では終始食べる機会が多かったが、店によって味が違ったり、具材が違ったりしていろんなバージョンを楽しむことのできる料理だった。ここでは鶏肉入りのミーセンを注文、さっぱりしていて朝飯があまり進まない俺でもサラッと食べれた。フォーに比べるとちょっと中華寄りの味付けだが、やはりここの気候に合う気がする。標高が高い分だけ微妙に体があったまるように味付けされている感じだ。後でビデオに撮ってあったS氏のインタビューでも「ベトナムのフォーと中国の拉麺の中間の味って感じ」というコメントをしている。
相席したおばちゃんは温かい豆浆(豆乳)に揚げパンを浸して食べていたのだけれど、これもまた中国定番の朝ごはん、たんぱく質と炭水化物をバランスよく摂取できる理想の朝食と言っていいだろう。今回はもうちょっとこの揚げパンを食べとけばよかったなと後悔しているが、いつもだいたい満腹状態だったからやっぱ無理だったんだろうな…
朝食後一旦宿に戻り体制を立て直し(ホテルは次の行動に移るときのオアシス的存在、部屋のトイレで出すものをしっかり出すとそのあとがサクサク行動でき、いい動きができるのだ)また朝市見学へ、朝食前よりもさらに野菜の露天商は増えて通りは大賑わいだった。真っ赤な三角帽をかぶった丸刈りの女性、ミャオ族の女性達がビビッドなオレンジを基調とした美しい帯飾りをまとって露店で野菜や手作り品を売っている。時折、僕らのためにコスプレして少数民族的朝市を演出してくれているんじゃないかと思ってしまったが、そんなはずは一切ない。なぜってここにはほとんど、いや僕達以外には外国人観光客なんて一人もいないのだ。S氏がそもそもここに来ようと計画したのは、中国の少数民族が普段のままに生活しているところに行ってみたいというのが動機から、観光地化されていない本当の暮らしぶりに触れてみたいというのがテーマだったからなのだ。金平の人たちからすると僕らはちょっと変わった漢民族ぐらいにしか思われていなかったと思うけど、ここまでくると訛りが微妙にあるらしく、S氏の中国語もなかなか伝わりづらかったようだ。
市は益々賑わいを増していたが、そんななか僕らは到着した時とは違う金平のもう一つのバスターミナルへと向かった。今日の予定では、金平から13km程離れた「十里村」を訪れる事になっている。なぜそこを目指すかといったら、もうただ面白いかもしれないというカンだけ。とにかく何の手がかりもない旅なのだからカンを頼りにするしかない。時刻表を確認し11時出発の乗り合いタクシーに乗り込んだ。日本の軽っ箱のちょっと大きいサイズといったところで、シルバーとグリーンのツートンカラー 乗車定員はドライバーを含め8人だ。乗り合いタクシーってやつは満員にならないと出発しないらしく、とりあえず僕らが乗ってから他の乗客を来るの待っていた、しばらくすると立派な編み込み髪をたくわえたお母さんが俺の隣に乗り込んできた。民族衣装は着ていないものの、その美しい髪から判断するにヤオ族のご婦人のようだ。しかしながらこっちに来てから女性の歳がいくつなのか全く見当がつかない。
農作業のような比較的苦労な仕事してると、勝手な偏見かもしれないが見た目が老けてしまうような気がする。昔の日本の農村のおばあちゃんはたしかにバッチリおばあちゃん感が出ていた。
ヤオ族のお母さんはツーショットをお願いしたものの、恥ずかしがって一緒に写ってくれなかった。本当はよくないのだけれど、相棒にしれっと横から撮ってもらって何とかカメラに収めることに成功した。まあこの旅全般にそうだったんだけど、しれっと写真を撮ることが多かった。後にこれがとんでもない事件を引き起こす羽目になるのだけれど…
タクシーはその後おじさんと小学生ぐらいの姉弟を乗せ出発、途中おじさんが豚かなんかの飼料(トウモロコシの粉みたいなの)を店で購入して後ろに積み込み、いざ十里村へ。丁度11時を回ったところだった。車は山道をくねくね上って行くが道は舗装されていて快適、次第に棚田がちらほら現れた。田植え前のようで水があちこちで入り始めている。こういう山間地の棚田を見るといつも不思議に思うのだが、どこから水を引いてきているのだろうか?とにかく上の田から下の田へ順々に水が流れ落ちていく。その水源を確認していないので何とも言えないのだが、多分上のほうに灌漑のシステムがあるんだろう。本来は農業者としてここをしっかり突き止めなければいけないのだろうけど、今回は忙しい旅なので割愛させていただく っていうかそこ見るの忘れてたなぁ…

途中おじさんが下車し、子供たちが下車し、集落らしきところに差し掛かった。そこのメインストリート、水牛を村人が連れて道を歩いている所あたりで運転手が「ここだよ!」という感じで僕らに下車を促した。十里村に到着したようだ。
僕らはここで降りたが、編み込み髪のおかあさんはまだこの先に行くようでそのままタクシーに乗っていた。おかあさあんの住んでいるところまで行ってみたい気もするがそこはぐっとこらえる。深追いは禁物だ。

タクシーを降りた瞬間すぐにわかった、この村はゆっくり時間が流れている。僕ら異国人二人は異空間に吸い込まれていった。

十里村探訪は次回に続く…


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