上発地村から

標高934mぐらい日記

下町銭湯考

2020年02月17日 | Weblog
先週の11日から15日土曜日まで、息子の住んでいる葛飾のアパートで過ごした。
11日のお昼過ぎに高速バスに乗り夕方池袋に到着。その日は東京に住んでる高校の同級生と僕合計三名でやきとり屋で盛り上がった。
次の日はアパートでのんびり一日過ごす。大学生の息子も春休みなので家にいて二人でたわいもない話をしてだらだら過ごした。
13日は東京見物、一人で電車で三田まで行きそこから白金、目黒までぶらぶら散策。天気もよく暖かい陽気だったのでリラックスして楽しめた。
夜は息子とてんやで天丼を食べ、カラオケボックスで12時までがなりあげる。
14日はのんびり朝起きたあと、息子と近所のスーパーに食材の買い出し、こっちが金を出してくれるもんだと決め込み、これでもかっていう量を買わされた。
昼飯は父ちゃん特製牛丼を作ってやり二人でそれを食べた。息子は来月上演の舞台の稽古が夕方からあるらしく、それまでのんびりするって横になってた。

ここからが本題です (👆は無視してくださってかまいません 単なる覚え書きです…)

僕は飯を食ったあと、以前から興味のあった東京の昔ながらの銭湯に行ってみようと思いスマホで調べて東新小岩の「千代の湯」へと生前親父が乗っていた自転車にまたがった。

千代の湯はアパートから自転車で15分ぐらいの距離、ちょっと曇り空だったけど寒くない、スマホのナビを頼りに快調にとばして行った。
間もなく住宅街の中に千代の湯をサクッと発見、思ったとうりの懐かしい外観だった。
まずは自転車を入口正面脇に駐車、自転車で来る人が多いようで結構な台数停められていた。写真を撮りゆっくりと建物の中へ。下駄箱は今では居酒屋ぐらいでしか見かけない松竹錠(木でできた鍵)のそれだった。それもおしゃれなやつじゃなくて昔ながらのホンモノ、これはもう思いどうりの銭湯に来たなと少しニヤついてしまった。さらに奥に入ると右手に番台があった。番台に座っているおばさんに500円玉を渡し30円のおつりを受け取る。おばさんは僕を見ても怪しむ様子は全くなくウェルカムな笑顔で迎え入れてくれた。こういう銭湯は常連さんがほとんどで部外者はほとんど来ないと思うのだが、インバウンドもいよいよディープな銭湯巡りまではじめてここにもその食指を伸ばしてきたのかも? 俺の風貌もどうやらそれに見えたか?! そういえば前日奥戸のホームセンターで「かくかくしかじかのナニはどこにありますか?」と尋ねられたばかりだ
それよりも東京都の銭湯の料金が去年の10月1日に5年ぶりに10円値上げになったということと、そもそも入浴料金が都道府県知事によって決められる「統制額」っていうのにちょっと驚いた。まあ公共性のあるものだから郵便料金と似たようなもんなのかな…
アーチの入口をくぐって男湯脱衣所へ,
二人のおじさんが服を着込んでいるのが見てとれる。脱衣所はかなり広く天井も高い。昨今は脱衣所が狭くて「すいませんね~」っていう感じで隣の人に気を使いながらパンツを脱ぐことが多い。銭湯の一番のリラックスタイムは風呂上りに脱衣場でパンイチでコーヒー牛乳を一気飲みしている時、まったくわかっちゃいない! 建築設計士は脱衣場をもっと重要視すべし、店舗よりも駐車場のレイアウトが大事っていうのと同じなのですよ…
焦る気持ちを抑えつつパンツを脱ぎ、シルバーの引き戸を引き浴場へ、まず正面にはハワイアンな椰子の木が何本も描かれていた。
定番の富士山じゃないっていうのもまた良し。浴場自体はやわらかく温か味のある数色のタイルで作られていた。派手じゃなく落ち着いた色使いだ。天井は肌色、白、緑、スカイブルーの四色のボーダー、これも一見大胆だがよく考えられた配色で落ち着きがある。
まずはマナーに従い体を洗いシャンプーをして全身を清める。ボタン式のカランだが長年の修理のためか洗い場によってボタンの形が微妙に違っている。老舗の雰囲気がここにも表れている。また洗い場のレイアウトや数が浴槽に対してのバランスがバッチリで、これこそ銭湯の基本スタイルのお手本だろうという感じだ。
体に泡がついてないことをよく確認してからやおら湯舟に向かった。三か所に分かれた浴槽の端の「でんき風呂」とアクリルプレートに書かれた深緑の湯に足を滑り込ませた。でんき風呂とはいうものの湯がビリビリしている感じはなく、ちょっと熱めのいい湯加減だった。浴槽には誰も入っておらず、洗い場で入念に身を清めてる人が五、六人いた。多分…っていうか確実に俺が一番若い。とにかく常連さんばかりだと思うが年齢はかなりアッパーだ。仕事を終えルーチンで必ず来てる人、もう引退してのんびりしているが一日の〆はここの湯でゆったりっていうおじいちゃん。北関東訛りも聞こえてきたから、たぶん田舎から東京に出てきてこっちで長いこと暮らして家族や孫もたくさんいるんだろう…などと勝手な妄想してるのだけどあながち間違ってもいないだろう。
湯の温度がけっこう高いのであったまるのも早い、すこし体を冷ますため浴槽の縁(ふち)に腰掛けて一息ついていた。すると新たににおじさんが引き戸を開けて入ってきた、背中には美しい昇り鯉の刺青が入っている……おじさんは真っすぐ僕が使った洗い場に行き腰掛けて体を洗い始めた。もしかしたら俺は恐れ多くもおじさんの定位置を断わりもなく使ってしまったのだろうか。まあいいい…
その後もおじさんはゆっくり丁寧に洗い場で体を整えている。だいたいここのおじさんたちは湯につかっている時間より洗い場にいる時間のが長い。俺も綺麗好きだと自分の事を思ってるのだが、みなさんを見ているとそうじゃないんじゃないかって気になってくる。
俺はでんき風呂の反対側のジェット水流風呂の縁に移動しそれとはなしに鯉の刺青を遠目に眺めていた。それにしても美しい刺青だ。こういうの入れたら女の子にもてるのかななどと浅はかなことを考えながらおじさんの動向を気にしていた、なぜならおじさんの洗い場の目の上のところにタオルをい置いてきてしまったのだ。取りに行くタイミングを見失った。
こうなったら当分湯に浸かったり出たりを繰り返してのんびり待つしかない。するとおじさんは洗い場から俺の入っているジェット水流風呂に入ってきた。軽く緊張したがおじさんの表情は穏やかで、背中を意識しなければなんてことはない。今時は見た目普通だけど中身がぶっ飛んでる人もいるのでなかなか難しい
おじさんが出て行ったあとは真ん中の薬草風呂に入ってみたが そこだけ深い湯舟でちょっとあせった。
十分あったまったあとシャワーで流し脱衣場へ、入れ替わりに浴場へ入ってきたおじさんの背中には龍の刺青……刺青率高いなぁ……
もしかしたらここは作品発表展示浴場なのかな……
脱衣場と浴場を隔てるガラス窓にはビーナスのような天女のようなストリップ劇場の綺麗なお姉さんのような腰下を羽衣で覆った女の人のサンドブラストが描かれていて目を引く。足元になぜかシャコ貝が描かれているんだけど、多分職人さんが脳内イメージだけでフリーに描いちゃって微妙に間違っちゃったんだろうな。背中じゃなくてガラス戸でよかったよ。ちなみにビーナスが乗っている貝は「ジェームズホタテ貝」です……
脱衣場は古い造りなんだけど綺麗に掃除してあるのでゆっくりとリラックスできるゾーンだ。今は昔の造りと違って改築してある感じなのでここで牛乳は飲めないが、そここに雰囲気を感じる。
アーチをくぐりロビーへ、端っこにはまだ現役で使われているであろう年代物のマッサージ機が二台、興味はあったもののそこには座らずコーヒー牛乳も飲まず(ビールを飲みたかったので)番台のおばちゃんに挨拶し外に出た。
少し小雨が降っていたけれど体がかなりあったまっていたので苦にならなかった。

   東京銭湯探訪はまだまだ続く……

※  千代の湯

  住所     葛飾区東新小岩5-17-6
  電話番号   03-3697-5787
  営業時間   15:10~22:00
  休業日    月曜(祝日の場合は火曜)
  交通     [新小51][新小52][新小53]中関橋下車徒歩3分










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