加舎白雄
名月や眼(まなこ)つぶれば海と山
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仲秋の名月やら、近ごろではスーパームーンやら
そうした美しい月を人はいつも見ることができるわけではない。
雨が降ってしまったり、自分が病の床にあったり、事情は様々だろう。
けれども、「眼を閉じれば」、そこには自然が、海が、山が、豊かにひろがる。
行ったこともある山、見たこともない海。
白雄が何らかの病で、名月を見ることができなかった日の思いを
素直に詠んだ句であるらしい。
実感のこもった句として、味わい深い。