加舎白雄
虫の音や月ははつかに書の小口
秋の夜、庭には虫の声がしきりとする。
月ものぼったころに、書物を閉じて灯火を消すと
わずかに差し込んだ月の光が書物の小口に照らしている。
そんな光景です。「小口」というのは本の背以外の三方の面。
紙の重なってみえるところです。
なんとも繊細な感覚の句。
「電子書籍」の時代には、こんな句はうまれませんね。
それにしても、どこか近代的な美で、
とても江戸時代の句とは思えません。
加舎白雄(1738~1791)には佳句が多くあります。