山本洋三「少年ジェット」全文
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全文は以下の通りです。
少年ジェット
澄んだ彼の声が
立木を切り裂くことができるなら
ぼくにその時
できないことは何一つなかったといっていい
白いマフラーなびかせて
教会の丘の
獅子の顔した岩の上から
街並をむこうにかすむ
港をみていることだってできたはずだ
───おお、涼しげな、彼の細い目……
行くぞ、シェーン!
と叫んでそのまま
港の方へ走ってゆけばよかった
かなしい「正義の印」
白いマフラーなびかせて
茶色の学校越えて
とんでゆけばよかった
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「少年ジェット」というのは、ぼくらの中学生の頃(?)の
テレビのヒーロー。
白いマフラーなびかせて、バイクに乗って、シェーンという犬を連れて。
しかも彼の「必殺技」は「ウルトラボイス」。
「う~や~た~~!」って叫ぶと
木が真っ二つに裂けてしまうのでした。
この詩は、辛い勉強に耐えていた中学生時代への切ない思いを歌ったようです。