プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

太陽光発電の「買取中断」問題

2014-10-18 11:32:36 | 日記
再生可能エネルギー「再生エネ」を電力会社が買取を中断している問題、国会でも質疑され、経産省でも問題の検討が為されていますが、(私なりに)問題の概要を整理したいと思います。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)

 まず、(水力、風力、地熱、太陽光などの)「再生エネ」を普及する為に、事業者が発電したコストに利益をプラスして電力会社が買い取る、「固定買取制度」(FIT)が導入されました。その財源は、私たち利用者に課せられる「賦課金」です。(一般家庭で月225円)しかし、その買取を北海道電力、東北電力、四国電力、九州電力、沖縄電力が中断し、「買取」を前提に投資をした事業者は、(収益が上がらなくても金利は払わなければいけませんし)「長引けば投資を回収するのは難しくなる」との声が上がっています。

 買取を中断した理由として(電力会社は)、①天候で発電量が変わる太陽光発電の申請が急増、需給の調整が難しい②やはり太陽光発電のパネル設置のための土地が安い地方に発電設備が集中して、送電能力が不足、送電機器の故障や停電の恐れがあるというものです。(何か言い掛かりをつけて、サボタージュしているように聞こえるのですが)同様の買取制度があるスペインでは、気象状況をもとに風力や太陽光の発電量を事前に予測し、需要に応じて出力するシステムを導入して、同国内の電力消費量の約4割に達する「再生エネ」を利用して安定的に電力を提供しています。

 日本の電力消費に占める「再生エネ」の割合は(2013年で)11%弱ですから、上記のシステムを構築するだけで①の問題は解決できます。また、「再生エネ」を25%まで高めたドイツでは、発電に適している北部から、電力需要の多い(同国)南部に送るため、送電網を整備しています。東電や関電には電力需要が大きく、融通できる送電網が既にあるのですから、送れないはずはありません。送電設備が不足しているというのならば、(数千億から数兆円掛かるそうですが、それこそ設備投資で景気を喚起できるのですから)設備を増強すればいいと思います。これで問題②も解決です。(経産省のWTもそうした検討は既にしています)

 太陽光発電は(発電効率も向上)パネル自体も安くなっていますし、土地さえあれば直ぐに設置できますから、同制度によって急速に普及し始めています。一般の住宅を除いた参入した事業者が既に運転開始したもの(6月末時点)でも848万kW(一般住宅で240万kW、合計すると原発10基分になります)、また既に申請が認定されたものは事業者だけで6,600万kWを超えています。(実に原発66基分に当たります)原発の発電なしでも電力需要は足りていますが、石油や天然ガスなど化石燃料に頼らなくても、電気が足りるようになりそうです。(沖縄電力以外は)どうもそこのところが「気に入らない」、そのための「買取中断」ということだと思うのです・・・

P.S. 只、FITの買取価格なのですが、太陽光発電は(当初40円から下がってはいるのですが)現在32円(1kW時)、ドイツやスランスの約2倍だそうです。陸上風力22円、地熱26円からしても高いように思います。現在経産省は自動的に買取価格を下げたり、「入札制度」を導入して、価格を下げる検討をしています。また、(大規模なものは)開発や環境影響評価に10年も掛かる地熱などは安定的に安く電力供給でいるそうですから、もっと普及の為には(逆に)価格を上げても良いのではないかと思います。いずれにしても、原発は要らない、という結論になりそうです・・・

P.S.2 「福島原発避難者訴訟」の原告団長の(ご住職の)早川さんは、第1回口頭弁論で、「どう考えても、ふるさとが元に戻ることはない。ふるさとは消滅したという思いです」、「地域での暮らし、地域のコミュニティーそのもの、ふるさとそのものを失い、現在も原発事故からの避難生活を続けているのです」、「今の樽葉町は、除染と原発事故復旧の前線基地と化し、元の穏やかな温かい町ではありません」と陳述されました。原発ゆえの被害です。悲劇です。「再生エネ」では(利権構造はあっても)こうしたことは起きません。それでも、(いくら犠牲が多大でも)世界の「核」の権力構造から足抜けすることは、やはりできないのでしょう・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年10月18日)

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