顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

鬱陶しい季節…せめて花でも

2020年06月28日 | 季節の花
梅雨はいまが本番中、鬱陶しい季節が続きますが、この雨はなくても困るし、降り過ぎてもまた厄介です。
梅雨明けの頃にはコロナウイルスの勢いはどうでしょうか。どうもしばらくは宥めながら共存していくしかないような気がしますが…。

一時期人気の出た「墨田の花火」というガクアジサイ(額紫陽花)の品種…、残念ながら今年の墨田川花火大会は中止になってしまいました。

ザクロ(柘榴)がいっぱい花を付けました。ほとんど結実せずに落ちてしまいまいますが、残った実はとても大きくなります。今年は何個くらい残るでしょうか。

北米原産のルドベキアはいろんな種類のあるのを、フォローさせていただいている「ひげ爺さんのお散歩日記」で拝見、これはプレーリーサン(Prairie Sun)と出ていました。Prairieは大草原、咲いている大きな風景が目に浮かぶようです。

ユリもいろんな種類があり、園芸種ではなんと15000種もあるとか、調べてみると黄色で斑点があるセベコデジールという品種のようです。 

同じく種類の多いヘメロカリスは、ユウスゲやカンゾウなどの在来種を元に品種改良されました。これはバーバラミッチェルという品種が一番それらしく見えました。

マツバギク(松葉菊)は、葉が松の葉に似ており、花が菊に似ていることからの命名でもハマミズナ科マツバギク属で、キク科ではありません。夏の庭には欠かせない花になっています。

いろんな色のあるハナスベリヒユは、ポーチュラカという園芸名で知られ、花言葉の「いつも元気」そのものの丈夫な性質が真夏の庭を彩っています。

ストケシアは北米南東部原産のキク科ストケシア属、1属1種の宿根草です。繊細な姿に似ず暑さ寒さに強く育てやすいため、よく目にする庭の花です。

モナルダは、タイマツバナ(松明花)とも呼ばれ、北米原産、原住民はハーブとして利用していたそうです。花も苞も真っ赤で、いかにも夏の花ですが何とも暑苦しい…。
 
マルバストラムは南米原産のアオイ科の宿根草で、暑さ寒さに強いため、グラウンドカバーなどに人気が出てきました。

稲田石と稲田神社

2020年06月25日 | 歴史散歩

笠間市稲田地区一帯で産出される花崗岩「稲田石」は、恐竜が絶滅した後の時代、今から約6000万年前に地下深く貫入したマグマが固まってできました。

花崗岩の主成分、石英(薄い灰色)、長石(白色)、雲母(黒色)のうち、稲田石は白色の長石が約60%を占めるため、際立った白さと美しい光沢、耐久性で知られ、国会議事堂、最高裁判所、東京駅、日本橋など日本を代表する数々の建築物に使用されてきたブランド石材です。

今年2月に復元された水戸城大手門の基礎や足周りにも光沢のある白い稲田石が敷かれています。工事関係者が現場の発掘にも立ち会い、上質な材を選んできたそうです。

本格的な採掘が始まったのは明治22年、採掘規模は日本一と言われ、東西8㎞、南北6㎞、深さ1.5kmにおよぶ岩脈は通称「石切り山脈」と呼ばれています。

ここはその中でも、インスタ映えの聖地、現在採掘休止中ですが、35mの深さに水が溜まり垂直な白い石の壁と相まって独特の景観になっています。

著名なグラフィックデザイナーと稲田の石職人のコラボレーションによる多くの作品も展示されています。

一帯は石材工場が数多く立ち並んでいます。放置された花崗岩を彩るノイバラ(野茨)が一輪…

さて稲田石の玄関口、水戸線稲田駅は無人駅で、隣には「石の百年館」が建っています。先人たちが100年以上築き上げてきた歴史と未来へ発展の100年を願って命名された石の博物館です。

館内には稲田石に関する資料や海外のいろんな花崗岩、県内で採れる岩石、日本の「国の石」とされる糸魚川のヒスイ(翡翠)などが展示されています。稲田石の中には結晶化した水晶なども現れることがあり、大きな現物展示が目を惹きました。

すぐ近くには「稲田」という地名のもとになった神話が生まれた稲田神社があります。茨城県内に7社しかない名神大社の一つ、祭神は奇稲田姫命(くしいなだひめのみこと)で、古事記によると八岐の大蛇退治の縁で素盞嗚之命(すさのおのみこと)と結ばれ夫婦になった女の神様です。

稲田姫神社縁起によると当地の邑長武持の家童が稲田好井の水を汲もうとすると、泉の傍らに女性が現れた。家童の知らせで武持が尋ねると「自分は奇稲田姫で当地の地主神である」と答え、姫の父母の宮・夫婦の宮を建て、好井の水で稲を作り祀るよう神託を下したと伝わります。

境内には父母の宮(母神・手摩乳(てなづち)神社、父神・脚摩乳(あしなづち)神社)と夫婦の宮(本殿、夫神・八雲神社)があり、写真は本殿と右隣の素盞嗚之命を祀る八雲神社です。

左は樹齢数百年と伝えられるシイの御神木。現在の社殿は火災消失後、嘉永元年(1848)の再建とされています。

稲田神社より約400m西の稲田山中腹に稲田神社奥の院があります。本宮とも稲田姫奥の院ともよばれる稲田神社の神宮寺で、奇稲田姫が降臨した地と伝わります。

ナス科の野菜の花

2020年06月22日 | 家庭菜園
我が家の小さな家庭菜園でも、この季節にはナス科の野菜の花が咲き続けます。

ナス科は115属2678種もある大きな植物群です。原種にはアルカロイドを持っていますが、品種改良により多くはジャガイモ、トマトなどの有用植物として夏野菜の主役になっています。

ナス科ナス属 ナス


ナス科ナス属 トマト


ナス科ナス属 ジャガイモ


ジャガイモの花の実です。摘み取らないで置くと一部の花にはミニトマトのような実が生ります。地下茎の野菜ながらナス科の出自を主張しているようです。


ナス科トウガラシ属 シシトウ
実の先端が獅子の頭に似るものもあるので獅子唐辛子と命名されました。10個に1個くらい辛いのがあり「食べるロシアンルーレット」とも呼ばれるとか、辛いのはタネが少ないという調査結果があるそうなので触感で判別できるかもしれません。


番外編


ナス科ナス属 ワルナスビ(悪茄子)
雑草で茄子そっくりの花、駆除が大変で、名前の通り悪名高き外来植物です。


ナス科ナス属 ツルハナナス(蔓花茄子)
園芸植物、同属のヤマホロシ((山保呂志)の名でよばれることもあります。


ナス科ペチュニア属  ももいろハート
園芸植物、品種改良によりいろんな種類がつくられています。

水戸八幡宮…山あじさいの小道

2020年06月19日 | 水戸の観光

水戸八幡宮は佐竹義宣公の創建、天正18年(1590)に水戸城主の江戸氏を滅ぼし、常陸太田より水戸に居城を移した際、文禄元年(1592)に氏神として崇敬していた常陸太田鎮座の馬場八幡宮より、水戸城内に奉斎し、のちに八幡小路に慶長3年(1598)に御本殿を建立し、水府総鎮守の社と定めました。
しかし、関ヶ原の戦いの後の慶長7年(1602)に佐竹氏が秋田へ移封されると、水戸は徳川家の所領となり、元禄7年(1694)には2代藩主光圀公(義公)の寺社政策の命により、那珂西村へ移遷されましたが、宝永六年(1709)3代藩主綱條公(粛公)の時代になり、再び水戸に遷座され、現在の白幡山神域に鎮斎されました。
祭神は応神天皇(誉田別尊・ほんだわけのみこと)、神功皇后(息長足日売尊・おきながたらしひめのみこと)、姫大神(ひめのおおかみ)の三柱、いたるところに菊のご紋が付いています。
左奥に見える天然記念物の御葉付公孫樹(いちょう)は国の天然記念物、樹齢800年、樹高42m、幹周り9mという巨木です。銀杏の実が稀に葉の真ん中に付きますが、滅多には見られず、仙人も数年前にやっと撮影することができました。
国指定重要文化財である本殿は創建当初のもの、佐竹公お抱えの「御大工」吉原作太郎(当時15才)を棟梁に、10〜20代の60名程の工匠の名が本殿内墨書に記されているそうです。平成7年から初めての全解体修理が行われ、3年かけて建立当時のまばゆいばかりの姿に復原されました。



ここはアジサイ(紫陽花)の名所としても知られ、50種5000株が咲き誇りますが、特に杉林の中に造られた「山あじさいの小道」は、林というシチュエーションと山あじさいに特化したことが最適の雰囲気を出しています。あじさいは日影や雨が似合う花だとつくづく感じました。
水戸徳川家の崇敬が厚いこの神社には9代藩主斉昭公(烈公)もしばしば参詣し、その際に涼をとったとされる烈公御涼所が残されています。日影をつくる大欅は樹齢約400年、樹高は約30m、幹周り5.75mの巨木です。

那珂川の冷風が吹きあがってくるここは比高約20mの上市台地の北の端、那珂川や遠く阿武隈山地を遠望できる今でも絶好のスポットです。

この台地は水戸層とよばれる凝灰質泥岩の上層に砂礫層がある水を貯えた地層のため、崖の真下には湧水が多く見られます。当時参拝の前に身を清めたという「神明水」は、今でも清涼な水が湧き出しています。

今はあまり通る人のいない東側の大鳥居の中に水戸芸術館のタワーが写りこんでいます。江戸時代は太郎坂から階段を上り、この鳥居から入るのが本来の参拝コースでした。

点線で記入したこの八幡宮の西側に、水戸城の総構えの一つで、西の谷緑地と結ぶ5段目の空堀があったとされますが、遺構は市街地の中に埋没してしまいほとんど残っていません。


初夏の庭…at home な日々

2020年06月16日 | 季節の花
外出自粛が解除されたとはいえ、特に…と指定される年代に属しているのでat home が多くなり、狭い庭の花をしみじみと見る機会が増えてきた気がします。


似ている植物2題、上の写真、シモツケ(下野)はバラ科シモツケ属の落葉低木、下のキョウカノコ(京鹿子)はバラ科シモツケソウ属の落葉多年草、この他にシモツケソウというキョウカノコの原種も出回っていますので混乱してしまいます。

ユキノシタ(雪の下、虎耳草) 下2枚だけが大きい5弁花がおもしろく、また肉厚の葉は天ぷらにするとモチモチの食感が楽しめます。

ストレプトカーパスの名前の由来、ギリシア語のstreptos(ねじれ)とkarpus(果実)が、写真の濃茶色の細長くねじれた実で確認できます。

フクレミカン(福来蜜柑)は、筑波山麓で採れる在来の柑橘種で、直径3~5cmと小さく、薄い皮が古くから陳皮として七味唐辛子などに利用されます。10年以上前に植えましたが、まだまだ収穫までにはしばらくかかりそうです。

ゲンペイコギク(源平小菊)は紅白の小さな花が這うように地面を覆います。葉が薄いので別名ペラペラヨメナ(ぺらぺら嫁菜)、エリゲロンの名で市販されています。

ペンステモン…品種改良でいろんな種類があり日本でも人気が出てきました。和名はツリガネヤナギ(釣鐘柳)というオオバコ科の植物です。

同じく釣鐘状の花のジギタリスもオオバコ科、キツネノテブクロ(狐の手袋)という和名もあるそうです。

ホタルブクロ(蛍袋)を下から撮ってみました。確かにホタルを入れるには充分の広さです。釣鐘状でもこちらはキキョウ科です。

アズーロコンパクトはキキョウ科ロベリア属でサントリーの開発種、新しい園芸種がどんどん開発され名前を覚えきれません。

チェリーセージ(サルビア・ミクロフィラ)は、舌状の花の白と紅のバランスがとても可愛い観賞用ハーブです。名の由来は葉を揉むと、サクランボのような甘い香りがするとか、やってみましたが???です。


カルミヤはアメリカシャクナゲともよばれる北米原産の常緑低木、金平糖のような蕾と賑やかな花で人気があります。下の写真は近くの公園で撮った濃い色の花、我が家にもありましたが今では薄く褪めてしまいました。