
偕楽園のケンポナシ(玄圃梨)の花、高いところなのでコンパクトカメラでのアップです。10月頃に実がつき、実ではなく膨らんだ面白い形をした果柄を食べると梨の味がするとか、その形から手棒(てんぼう)梨が訛って名前になったようです。二日酔いにも効くというので、秋の挑戦がひとつ増えました。

水戸の佛性寺の境内にボタイジュ(菩提樹)が満開でした。何の花?そういえばお寺に関係あるのは、釈迦が悟りを開いた菩提樹と入滅した時の沙羅双樹と思い出しました。微かに甘い香りが漂っています。

偕楽園にも藤棚近くに2種類のボダイジュがあります。こちらはオオバボダイジュ(大葉菩提樹)、葉の大きさだけで花はほとんど同じです。

最近道端で見かけるこの紫色の花は、調べてみるとヤナギハナカサ(柳花笠)、南アメリカ原産で、園芸植物として導入されたのが、野生化して今は日本全国の空き地や道端などに生えており、別名サンジャク(三尺)バーベナともいいます。

近所の家で道路際に出ていた鉢植えの花、オレンジ色の6本の雄蕊と白い雌蕊が際立っているので、調べたらサフランモドキ(擬き)、江戸時代に鑑賞用として導入され、サフランと呼ばれていたのが、後にハーブの本物のサフランが導入されてからモドキが付いて可哀想な名前、ゼフィランサスとも言うようです。

庭に1本だけ出てきたジギタリス、暑さに弱く二年草ですが、生育環境によっては多年草にもなるようです。ベル状の花の模様がとても強烈で印象的ですが、調べると案の定毒性の強い植物だそうです。

この時期山間部を走っていると、猫の好物マタタビの白い葉が目につきます。クルマを停めてよく見ると歯の裏側に隠れるように白いきれいな花が咲いていました。梅のような五弁の花からナツウメ(夏梅)とも呼ばれるそうです。

マタタビは雄株には雄蕊だけを持つ雄花を、両性株には雄蕊と雌蕊を持った両性花をつけ、雌蕊だけの雌花をつける雌株もあるとか…、写真に撮ったのは雌花のようです。
葉の陰で花が見えないので、葉が白くなって虫を呼び寄せると言われており、結実する頃になると葉の色は元通りになるというから、まさに自然の神秘です。

沙羅の木(夏椿)は背が高くなるので普通の目線では見えず、落ちてる花を見て咲き出したことに気がつきます。ツバキ科で学名はナツツバキ、幹はサルスベリのようにつるつるしています。朝に開花し、夕方には落花する一日花で、お寺の庭などによく植えられています。

「祗園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必滅の理をあらはす」という平家物語の有名な一節が、花が一日でぽたりと落ちる儚さを表しているようです。
しかし沙羅双樹は別種で、お釈迦様が入滅した場所に生えていたとされるフタバガキ科のインド自生の熱帯樹、日本では温室でないと育たないので、夏椿をその代用として沙羅の木と言っているようです。
夏椿げんまんの死はぽたぽたと 増田まさみ
うちしきてあしたの沙羅のよごれなし 長谷川素逝
地に落ちて地の色になり沙羅の花 顎髭仙人