顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

水戸の梅まつり2018開幕 ②

2018年02月24日 | 水戸の観光

2月17日から3月31日までの水戸の梅まつりは、水戸藩の藩校、弘道館もその会場です。ここには、60種800本の梅があり、水戸の六名木のほか、偕楽園にない梅もありますので、梅の花を愛でる方にはおすすめのスポットです。

「鈴鹿の関」も数輪開き始めました。底紅という、花の中心部がほんのり紅くなる可憐な花です。

この「座論梅」は、偕楽園や弘道館の写真を撮っている方には、異論のある木です。数個の実をつける品種ですが、雌蕊は1本しか見えません。画面に、自然に優しい防虫フェロモン剤を塗布した赤い針金が写ってしまいました。

「水心鏡」は偕楽園でも撮りましたが、白壁があるとイメージが少し変わります。

「八重冬至」の奥に正庁の屋根が見えます。震災でずれた瓦の補修の際に直した伝統技術の漆喰は、全国から集まった専門の職人さんが地元の左官屋さんに技術を伝えていったそうです。

「藤牡丹枝垂」は、最近人気の枝垂れ梅で、偕楽園でもよく見かけるようになりました。

「臥龍梅」は、幹や枝が地を這い、そこから根を生じる梅、四ツ目垣に囲まれて完全に横になってしまいましたが、毎年しっかり花を付けています。なお、松島瑞巌寺の臥龍梅は、伊達政宗公が朝鮮出兵の折り持ち帰ったといわれており、天然記念物になっています。

弘道館正庁のある有料区域から西側の孔子廟、八卦堂、鹿島神社などのある、いわゆる聖域へ向かう出口専用の門ができました。今まで遠回りしてましたので、今度は梅林を経ての散策コースがずっと手近になりました。

出口の門を囲む四ツ目垣とその先の孔子廟の垣は、縦の竹(立子)の長さも違い横の竹(胴縁)も3本で、公園内の他の四ツ目垣と少し違います。

これは、四ツ目垣でも基本型でなく遊び心を入れて竹の配置を崩した「行」の形というようです。日本の中世以来、書の世界から始まって、いろんな芸道の様式や空間の価値概念を表す「真」、「行」、「草」という言葉を初めて知りました。
写真の、正門の内側にあるのが、四ツ目垣の「真」ということになるのでしょうか。

水戸の梅まつり2018開幕

2018年02月22日 | 水戸の観光
2月17日から始まった梅まつり、今年は寒さでここ数年に比べ約1週間以上開花が遅れていますが、偕楽園では少しずつ開花の梅も増えてきて、現在約3000本のうち約15%の梅が花を開きました。

まず表門入り口の「緋の司」、梅の分類の仕方はいろいろありますが、手元の図鑑では李系紅材性とあり、材の色が紅色の幹です。ここから始まる陰の世界には似合わぬ濃紅色の花が、華やかに出迎えてくれます。

「満月」は名前の通りまん丸いイメージの花、野梅性なので良果が結実します。明治時代の月の名がつく三銘花は、この「満月」と「田毎の月」「滄溟の月」で、どれも偕楽園にあります。

「実生野梅」は、種子を蒔いて出て来る原種に近い梅です。梅の種子を蒔くと親とは違う花の梅が出てきて、いわゆる先祖返りで原種に近くなると聞きました。その苗木は確実に固定の品種を増やす接ぎ木用の台木として使用されます。

早咲きの白梅の代表、「冬至梅」は旧暦の冬至の頃に咲くので付いた名前です。野梅性で結実品種、正月用の盆栽によく使われます。

「月宮殿」とは月を神格化したインド神話の神様の宮殿のこととか、野梅性の大輪です。 しっかりと雌蕊が見えていますが、あまり結実はしないようです。

「水心鏡」は江戸時代から続く古い品種で明治時代の梅花集にも載っており、その原木は千葉大の梅林にあるそうです。野梅性で繊細な花弁の八重咲き、結実する梅です。

東門を入って右手3本目の「梓弓」という品種は、園内の成木ではここにある一本だけだと思います。背の高い枝を空に広げていますが、樹元を見ると幹は空洞化しており、その生命力にびっくりします。
偕楽園では、これから中咲き、遅咲きも咲き始め、園内100種類の梅が約40日間の饗宴を彩ります。


涸沼自然公園…早春   (茨城町)

2018年02月17日 | 日記

梅林では冬至梅が咲き始めていました。早咲きの野梅性一重。後ろで紅く見えるのは、同じく早咲きの八重寒紅、こちらは野梅性でも結実しないので、ここは観賞用の梅林です。

紅梅と白梅は、その材の色で見分けるとされており、例外は寒紅梅系と教わりましたが、切り口の脇から咲いている八重寒紅を見ると、まさしく材の色は紅くない例外なのがわかりました。通常の紅梅の材の色は紅色です。

ヒボケ(緋木瓜)と名札が付いていました。なんとも語呂が悪く軽蔑用語のような…。早春に咲く緋色の木瓜との説明です。すでに開いていた花弁は寒さで縮れていました。

スイセン(水仙)と湖景、見慣れた形はラッパスイセンでしょうか、内側の花被片がラッパのように突き出ていることからその名が付きました。地中海沿岸が原産国だそうです。

タラの芽はまだまだ固く、鎧の中に身を潜めているようです。あと2か月過ぎにはふっくらと大きくなって、どなたかの胃の中に美味しく収まることでしょう。

土手では、寒さで葉が変色していますがイヌフグリ(犬陰嚢)とホトケノザ(仏の座、三階草)が顔を出しています。


寒紅梅咲きたり八重に心染めて  成田千空
散ることにためらいもなく冬至梅  浦 廸子
隣人は選べず土手のいぬふぐり  顎髭仙人

十五郎穴 横穴墓群   (ひたちなか市)

2018年02月16日 | 歴史散歩

台地の崖に横から穴を掘ったこの横穴墓群は、古墳時代末から奈良時代(約1,200年前)にかけて築かれたもので、当時、中央から対東北政策のために派遣された役人や兵士の墓との説もあり、東中根台地の約1.5kmにわたって続いています。また、江戸時代に小宮山楓軒の『水府志料』にも登場し、その存在が知られていました。

一帯では館出(たてだし)、指渋(さしぶ)などいくつかの支群に分かれて分布しており、これまでに百数十基が確認され、総数300基を超えるといわれています。このうち、上記写真の館出に群集している34基(620㎡)が県指定史跡に指定されています。

北側に位置する指渋支群は覆っていたシートも劣化して剥がれ、惨憺たる状況になっていました。

横穴墓は、遺体を埋葬する玄室、玄室へ通じる羨道、入り口前の前庭部に分けられ、柔らかく細工しやすい凝灰岩の崖をくり抜いて造られおり、中からは人骨のほか、須恵器、直刀、勾玉、切子玉など多数の副葬品が出土しています。(ひたちなか市教育委員会資料から)

この近辺には多くの古墳が点在しますが、その中でも最大級の前方後円墳の虎塚古墳はこの横穴墓群のすぐ近くにあります。1973年に内部が白地に鮮やかな朱色で絵を描かれている石棺が発見されて話題になりました。

この場所の立地から海運力を有する集団が存在していたと考えられ,その墓域が当横穴墓群であった可能性があり,また虎塚古墳を造営した集団とも深い関わりがあることが判明しています。
「十五郎穴」という名称は、曾我物語の十郎・五郎がここに隠れ住んでいたという、地元に伝わる伝説に基づいており、虎塚古墳も曽我物語の虎御前に名前の由来があります。

なお、虎塚古墳の春の一般公開は平成30年3月29日(木曜日)から4月1日(日曜日)の4日間と平成30年4月5日(木曜日)から4月8日(日曜日)の4日間 計8日の予定です。

まもなく水戸の梅まつり-2018

2018年02月13日 | 水戸の観光
2月17日(土)から3月31日(土)まで、第122回水戸の梅まつりが偕楽園と弘道館で開催されます。
梅の花は100種3000本の偕楽園と、60種800本の弘道館、どちらもいろんな種類の多さと老木が多いのが特徴で、春に先駆けて花の饗宴を楽しめます。

今年の開花は昨年よりは2週間ほど遅いようですが、ここ数年早すぎる傾向だったのでちょうど良いのかもしれません。現在は約10%くらいの開花、梅の鑑賞方法の一つ「探梅」にもぴったり、これからは日に日に咲きそろってきます。
梅まつり期間中は、早咲きから遅咲きへ色んな種類の梅が長い間楽しめますが、見頃は3月上旬から中旬と予想されています。

水戸藩の藩校、弘道館で咲き始めた梅をご紹介します。正門脇塀際の「虎の尾」はいつも早めに開花します。水戸の六名木の一つで、同じ六名木の「白難波」、「月影」、「柳川枝垂」も咲き始めました。

正庁前の「八重寒紅」、この時期の紅い色はなぜか艶やかです。

「八重冬至」も早咲き梅の代表品種です。天下の魁たれと教えた藩校の建物は当時のもので国の重要文化財です。

正庁入り口の老梅、今年もしっかと花を付けました、屋根の青海波によく似合います。

正庁三の間廊下前の「蝋梅」、弘道館には蝋梅が何本もあって芳香を漂わせています。

水戸藩9代藩主の徳川斉昭公は、偕楽園の造園に際し、一年前に開校した藩校弘道館が勉学、修行の場に対して、癒し、休息の場とし互いに対をなす一体の施設として構想したとされます。
それぞれ趣きの違う2つの公園で、斉昭公が天下の魁と詠んだ梅花をゆっくり鑑賞してはいかがでしょうか。