顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

桜川市の歴史遺産

2016年05月22日 | 水戸の観光
ボランティアの研修旅行、好天が続いていたのに、この日は一日雨、最初の訪問が雨乞いにご利益のある、雨引観音のせいかもしれません。

雨引山楽法寺は、真言宗豊山派の寺院で、中国から帰化した法輪独守居士が587年に開山したと伝えられる古刹です。本尊は観音菩薩。坂東三十三箇所霊場第24番札所、東国花の寺百ヶ寺茨城6番札所であり、雨引観音とも称され、安産子育ての霊場として広く知られています。写真は山門と雨にけぶる真壁、筑波方面です。今回の研修では、強い雨で撮影が困難でした。


施無得畏山宝樹院小山寺、通称富谷観音は735年行基創建と伝えられる天台宗の古刹で、本尊の十一面観世音菩薩は行基作といわれる一木造り鉈彫りの秘仏で60年に一度のご開帳とか、このほか慈覚大師の作と言われる不動明王、運慶作の毘沙門天などの寺宝が並んでいます。また、写真の三重塔は1406年に下妻の多賀谷氏が奉納したとされ、関東以北では最古のもので国の重要文化財です。


謡曲「桜川」で知られる磯部稲村神社は、まさに桜に因んだ神社。日本武尊が伊勢神宮と鹿島神宮の分霊を祀ったという伝承があり、702年文武天皇の勅命で再建されたという。佐竹氏、宇都宮氏、内藤氏などその時時の権力者の崇拝を受け、光圀公も訪れてここの桜を水戸の箕川の地に植えて名前を佐久良川としたという話は、桜川千本桜プロジェクトの項でご紹介済み、その因縁で当神社が種子から育てた桜を、水戸のこのプロジェクトに提供しているそうです。ありがとうございます。(土砂降りの中での写真です。)


曜光山月山寺は796年、徳一による創建とされ、室町時代に法相宗から天台宗に改宗、江戸時代には学問所として関東八か檀林に列し、その大きな教場が東日本大震災の被害補修工事中でした。境内に開設されている美術館には、仏画・仏像など寺宝および木村武山ら、地域ゆかりの画家の作品を収蔵・展示しています。なかでも、重要文化財の弁慶の背負ったという網代笈(あじろおい)があります。
住職の説明が面白く、本尊の薬師如来は衆生(しゆじよう)の病気を治し,安楽を得させる仏で、左手に薬壺を持ち、前にかざした右手第四指を必ず前方に曲げている、薬師如来は薬を塗るとき、この第四指を使うということからこの指を薬指という呼び名になったということでした。
写真の本堂前の枯山水が見事でした。

今回の訪問先はすべて長い歴史のある寺社仏閣ばかり、立派な建物もありますが、維持管理が大変と見受けられるところもありました。後世に残すためにも保護策をぜひ行政にも検討していただきたいものです。住職さん達による懇切丁寧なご案内と説明をいただき感激いたしました。

冴え返る古刹に残る手斧あと  原口英二
若葉雨甍艶めく古刹かな  顎髭仙人


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