顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

千波湖畔の八重桜…変わり種は好きですか?

2021年04月14日 | 水戸の観光


偕楽園公園の千波湖周辺には約30種の桜が約700本植えられております。一番多いソメイヨシノ(染井吉野)系の桜はもうすでに咲き終わり、季語の「桜蕊降る」の状態ですが、遅咲きの八重桜がいま満開になっています。

その中で変わった花の色の桜をふたつ…

花の色が緑色系のギョイコウ(御衣黄)は、突然変異により花弁に黄色のカロテノイドと緑色のクロロフィルを含む葉緑体をもつ性質になりました。この種はクロロフィルの方が多量のためより濃い緑色に見える花を咲かせます。

貴族の衣装の萌黄色に見立てた命名で、江戸時代に京都の仁和寺で生み出されたというオオシマザクラ系の園芸品種です。


同じ系統の葉緑体をもつウコン(鬱金)は、緑色のクロロフィルが少量のため淡黄色に見える花です。
名前はショウガ科のウコンを原料とした、カレー粉や沢庵などの着色料「ウコン」に因んで付けられました。江戸中期以前に作出されたオオシマザクラ系の園芸品種です。

清酒「黄桜」は、「黄桜酒造」の創業者がこの鬱金桜をとても気に入っていたので名付けられたそうです。外国でも人気の品種と載っていました。

変わった雌蕊の形から名前が付きました。


フゲンゾウ(普賢象)も、オオシマザクラを母体に作出されたサトザクラ群の栽培品種で、雌蕊の先端が曲がっており、普賢菩薩の乗る白象の鼻に似ていると命名されました。




これは花の中心部の雌蕊が葉化して、細い葉が出ているように見えるショウゲツ(松月)です。
この系統の桜は、雌蕊が変形し受粉能力がないため、接ぎ木や挿し木でしか増殖はできません。

コレクションとしては、珍しい品種も話題になるので公園には必要かもしれませんが、観賞用として庭に植えるならやはり普通の桜、それも一重がいいかなと…個人的な感想ですが。

湖漁夫にさくら蘂降る渚あり   大野林火
雨に色交へて桜蘂降れり  宮津昭彦
曲り屋の屋根の曲り目桜蘂   能村登四郎

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