スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

冬時間の戸惑いとハプニング

2006-10-31 08:05:24 | スウェーデン・その他の社会
先週、土曜日から日曜日に掛けての深夜に「夏時間」が「冬時間(標準時間)」に戻った。真夜中の3時になった瞬間、2時に戻される。そして、1時間後に再び3時が来て、後は今までどおりの生活が始まっていく。つまり、この夜は1時間おトクなのだ。

3時がもう一度2時に!(数年前のAftonbladetから)


私もスウェーデンに来た最初の頃は、知らずにうっかりして、予約しておいた電車に乗ったら、自分の指定席に人が座っているではないか! よくよく列車番号を見ると、自分が乗るはずだった電車より1時間早いやつに乗ってしまったことが分かった、なんてこともあった。

実は、私だけでなく、スウェーデン人でもたまに忘れている人を見ることがある。学生寮に長らくすんでいたけれど、「夏時間」から「冬時間」への切り替えや、その逆の時には、必ず誰か寝坊したり、遅刻したりと、あたふたしている人がいるのは面白い。

実はスウェーデンにこの夏時間(サマータイム)制度が導入されたのは1980年と、そんなに昔の話ではない。だから、未だに少なからずのスウェーデン人が、「あれっ、冬時間に戻る、ということは、時計の針を一時間先に進めるんだっけ?後に戻すんだっけ?」と首をかしげながら、周りの人に聞いているみたいだ。(時間が変わる、ということに気づいているだけでもマシだけれど・・・。気づいていない人も結構います。)

いい覚え方としては、ある新聞がこんな提案をしている。「バーベキュー(BBQ)用のグリル」と一緒、と考えるといいのらしい。「庭に出しているBBQ用グリルは、冬になると使わないから、屋内に戻してしまう(ställa tillbaka)。だから、冬時間になると、時計の針も戻す(tillbaka)。逆に、夏になると屋内から庭に運び出す(ställa fram)。だから時計の針も先に(fram)進める。」ということだそうだ。
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ともあれ、サマータイム制に慣れていない、われわれ日本人には思いもしないハプニングや戸惑いもあるようだ。

スウェーデンでは、深夜営業のレストランやパブ・ディスコなどは、何時まで開けてもいい、という許可証を市から取得しないといけない。だから、ストックホルム市当局には「うちは3時までの営業許可をもらっているけれど、3時というのは“最初の3時”か“二回目の3時”か?」という戸惑いの質問が来るという。この場合は実際は“2回目の3時”でよく、レストラン・パブ・ディスコも1時間長くオープンできる、という。

警察もこの夜は大変。夜が1時間長くなるだけで、酔っ払いや、障害・暴行事件が急増するらしい。だから、この夜は余分な人員が必要になる。

乳牛には、夏時間が冬時間に変わったなんて、知る余地もない。だから、酪農家の人が“人間の時間”で見て、朝6時なら6時にやってきて、乳絞りを始めようと思っても、牛にとっては既に1時間遅いわけだから、体のリズムが狂ってしまい、うまく乳を出してくれないという。だから、むしろ人間の方が“牛の時間”に合わせて、早起きして仕事を始めないといけないらしい。牛のほうが体内時計を人間の時間に合わせて一時間ずらしてくれるまで、1週間ほどかかるという。

新聞配達の中にも、この朝は営業所に1時間早く来てしまう人が毎年必ずいるという。早く来てくれる分には営業所のほうは困らないけれど、冬時間から夏時間に変わるときには、1時間遅れてくる人がいて、このときは困りものらしい。

最後の極めつけ。
あるお母さんが、この日曜日の2時から3時にかけて双子を産んだとしよう。最初の子が、例えば2時55分に生まれたとする。そして、次の子が生まれる前に、時刻は3時になって、それが新しい冬時間の2時となる。そして、二人目の子供が見事誕生したときの時刻は、2時10分。あれ? 先に生まれた子供の出生時刻が、後に生まれた子供の出生時刻よりも遅い? そんなことが、あるのか? ・・・そう、こんな形で、あってもおかしくないのです。(実際にあったかどうかは知りませんが・・・)


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