坂道を転がる石のように、世界中の株価の急落が止まらない。
今日(水曜日)は、アメリカ、カナダ、ECB(ヨーロッパ)、イギリス、スウェーデン、スイスの6つの中央銀行が協調して同時利下げを行い、政策金利をそれぞれ0.5%ポイント引き下げた。スウェーデンの中央銀行(Riksbanken)は1ヶ月ほど前に0.25%ポイント引き上げ、大きな批判を浴びていたが、次の定例会合を待つことなく、急遽引き下げられることになったわけだ。
ストックホルム株式市場は、今日は取引開始直後から7%も暴落していた。利下げのニュースを受けて、一時的に昨日の終値の水準まで7%上昇したものの、再び下落を続け、今日の終値はマイナス6.4%。
過去20年のストックホルム株式市場のインデックス
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ちなみに、アメリカやヨーロッパで銀行や金融機関の破産が相次いでいるとはいえ、スウェーデンの金融機関は磐石で今のところ問題ない、と見られている。ただし、もちろん不安材料はある。スウェーデンの大手銀行はアメリカのリーマン・ブラザーズに貸付を行っていたのだが、破綻によってこれが焦げ付いてしまった。なかでも大きな打撃を受けたのはSwedbankだ。その額は90億クローナ(約1600億円)にのぼると見られている。
また、スウェーデンの金融機関はバルト三国にかなり進出しており、これらの国々の金融資本の9割がスウェーデン系だといわれている。これまで急成長を遂げてきたバルト三国の経済だが、それまでの成長が急激だったぶん、落ち込みもかなり大きいと見られており、これらの市場での損失がスウェーデン本国の親会社を危機に引きずり込む可能性もある。
そういえば、スウェーデンの中央銀行は経営が行き詰った金融機関に公的資金を使って融資することを今日決めた。といっても、スウェーデンの金融機関ではない。国が丸ごと破産しかかっているとも言われるアイスランドの金融機関カウプティング(Kaupthing)のスウェーデン子会社である。
それから、本来は資金振りの良好な金融機関も、信用危機が発生し、預金者が預金の引き出しを一挙に行ってしまえば、やはり倒れてしまう。そのため、スウェーデン政府は、預金保護の上限額をこれまで25万クローナ(440万円)から50万クローナ(880万円)に引き上げることを一昨日発表した。(一方、ヨーロッパの多くの国々は10万ユーロくらいまで引き上げるようだから、それに比べても、また日本に比べてもスウェーデンの水準はまだ低いようだ。)
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それから、一般家計にとって気がかりなのは、住宅ローンの利率が上昇していること。これは、ローンを貸し出す際に金融機関が発行している住宅債券に買い手がなかなかつかず、債券市場で値下がりしているためのようだ。リスクが高いと敬遠されているのだろう。(注:債券の価格と利率は反比例の関係)
一方、リスクが低い債券といえば、やっぱり国債だ。特に満期が1年未満の短期国債(スウェーデン語では、statsskuldväxel)に人気が殺到し、市場価格が高騰している。9月下旬には需給バランスが崩れて、値段がつけられない事態が発生し、取引が一時的にストップされたほどである。
国際管理庁の長官は、前の保守党党首Bo Lundgren
国債の発行や管理を行っているのは、中央銀行ではなく国債管理庁(Riksgäldskontoret)だ。では、この国債管理庁はどう対応したかというと、短期国債を新たに発行して、国債市場で大量に売却したのである。そして、売却で得られた資金を使って、債券市場で住宅債券を買い上げたのである。つまり、国債市場を沈静化し、同時に債券市場でも介入をして、住宅ローンの利率を抑えるという、一石二鳥の手を使ったのである。(おそらく、日本語でいう“買いオペ”“売りオペ”に含まれる手段だと思う)
不況に襲われているとはいえ、スウェーデンの国家財政は今のところ安定しており、国債の新規発行の必要性は本来はないため、市場安定化だけを目的とした国債発行である。
今日(水曜日)は、アメリカ、カナダ、ECB(ヨーロッパ)、イギリス、スウェーデン、スイスの6つの中央銀行が協調して同時利下げを行い、政策金利をそれぞれ0.5%ポイント引き下げた。スウェーデンの中央銀行(Riksbanken)は1ヶ月ほど前に0.25%ポイント引き上げ、大きな批判を浴びていたが、次の定例会合を待つことなく、急遽引き下げられることになったわけだ。
ストックホルム株式市場は、今日は取引開始直後から7%も暴落していた。利下げのニュースを受けて、一時的に昨日の終値の水準まで7%上昇したものの、再び下落を続け、今日の終値はマイナス6.4%。
過去20年のストックホルム株式市場のインデックス
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ちなみに、アメリカやヨーロッパで銀行や金融機関の破産が相次いでいるとはいえ、スウェーデンの金融機関は磐石で今のところ問題ない、と見られている。ただし、もちろん不安材料はある。スウェーデンの大手銀行はアメリカのリーマン・ブラザーズに貸付を行っていたのだが、破綻によってこれが焦げ付いてしまった。なかでも大きな打撃を受けたのはSwedbankだ。その額は90億クローナ(約1600億円)にのぼると見られている。
また、スウェーデンの金融機関はバルト三国にかなり進出しており、これらの国々の金融資本の9割がスウェーデン系だといわれている。これまで急成長を遂げてきたバルト三国の経済だが、それまでの成長が急激だったぶん、落ち込みもかなり大きいと見られており、これらの市場での損失がスウェーデン本国の親会社を危機に引きずり込む可能性もある。
そういえば、スウェーデンの中央銀行は経営が行き詰った金融機関に公的資金を使って融資することを今日決めた。といっても、スウェーデンの金融機関ではない。国が丸ごと破産しかかっているとも言われるアイスランドの金融機関カウプティング(Kaupthing)のスウェーデン子会社である。
それから、本来は資金振りの良好な金融機関も、信用危機が発生し、預金者が預金の引き出しを一挙に行ってしまえば、やはり倒れてしまう。そのため、スウェーデン政府は、預金保護の上限額をこれまで25万クローナ(440万円)から50万クローナ(880万円)に引き上げることを一昨日発表した。(一方、ヨーロッパの多くの国々は10万ユーロくらいまで引き上げるようだから、それに比べても、また日本に比べてもスウェーデンの水準はまだ低いようだ。)
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それから、一般家計にとって気がかりなのは、住宅ローンの利率が上昇していること。これは、ローンを貸し出す際に金融機関が発行している住宅債券に買い手がなかなかつかず、債券市場で値下がりしているためのようだ。リスクが高いと敬遠されているのだろう。(注:債券の価格と利率は反比例の関係)
一方、リスクが低い債券といえば、やっぱり国債だ。特に満期が1年未満の短期国債(スウェーデン語では、statsskuldväxel)に人気が殺到し、市場価格が高騰している。9月下旬には需給バランスが崩れて、値段がつけられない事態が発生し、取引が一時的にストップされたほどである。
国際管理庁の長官は、前の保守党党首Bo Lundgren
国債の発行や管理を行っているのは、中央銀行ではなく国債管理庁(Riksgäldskontoret)だ。では、この国債管理庁はどう対応したかというと、短期国債を新たに発行して、国債市場で大量に売却したのである。そして、売却で得られた資金を使って、債券市場で住宅債券を買い上げたのである。つまり、国債市場を沈静化し、同時に債券市場でも介入をして、住宅ローンの利率を抑えるという、一石二鳥の手を使ったのである。(おそらく、日本語でいう“買いオペ”“売りオペ”に含まれる手段だと思う)
不況に襲われているとはいえ、スウェーデンの国家財政は今のところ安定しており、国債の新規発行の必要性は本来はないため、市場安定化だけを目的とした国債発行である。