上海で日本語を話している中国の若者達

中国人に囲まれて日本語で通していく日常の出来事を書き綴っています。

報道と企業利益

2010年07月28日 | 日記
夏の雷雲が所々、空を流れてゆく真夏の上海です。

こんな空を見る時、大陸だなぁと思います。

さて、皆さんはご存知でしょうか、「動かないコンピュータ」という連載記事を。
日経コンピュータが昔から掲載しているIT導入失敗事例(時には大事故)の実名記事なのですが、7月16日のIT Japan2010で日経の記者が講演者からやり込められた(批判された)事が今日の日経ビジネスONLINEの記事、情報を深堀りすれば、勝ち抜き方が見えてくる 谷島宣之の「経営の情識」成長企業の経営者から学ぶ「果敢さ」と「人重視」 に少しだけ紹介されていました。

「動かないコンピュータとか失敗を報道するばかりではなく、成功例や、リスクをとってチャレンジした人を応援する記事をもっと書いてほしい」と言われてしまったそうです。

確かに多大なPR費用を投じて高めた企業イメージを、1本の連載記事が下げると、当然企業にとっては公告投資が損なわれる訳ですから、企業利益が毀損されたと感じるのでしょう。
さて、報道媒体では、多少なりともスポンサーの意向に沿った報道を求められる場合もありますが、報道内容が媒体購買読者をスポンサーとするルポルタージュで有った場合、真実(客観的事実)に基づく事を求められます。
(特に企業以外をスポンサーとする公共放送では・・・四半世紀前にバイトでカメラ助手をしていた某国営放送は、記者さんのお零れで何か貰っていた気もしますが・・・気のせいか記憶違いでしょう。)
実名報道非の是非は、時として真実歪曲の場合、名誉毀損、風説の流布、機密漏洩等の訴訟に発展する為、その信憑性や確証の深さを吟味しないと容易に計ることが出来ないものです。
(人間とは自分に都合の良い嘘をつく知的生命体で、その証言からは、真実を拾い出す必要があります。その為に当事者に密着取材しつつ第3者、資料を交えて編集会議で練り上げて行く訳です。これはドキュメンタリー映画も同様で、私の卒業制作の1本であった「らせんの素描」も、こうして編集されて行きました。)

そこで、「動かないコンピュータ」という記事のスポンサーを考えると、誰でしょうか?
やはり日経コンピュータの読者では無いでしょうか。
そして、失敗事例を実名報道する事による将来効果は本当にマイナスなのでしょうか?

私は、IT業界駆け出しの頃、電波新聞社の1Fにあったコンピュータサロンに毎日通って、日経コンピュータを全て読む様に社長命令を受けた事があります。
その時、最も役に立ったのが、この「動かないコンピュータ」でした。
また、HPの研修センターでのプレゼンテーションをはじめ、様々なシステム提案時に、この連載事例からヒントを得て切り抜ける事ができました。
ケーススタディの実例として、非常に有効な教材であると考え、後年編纂された本(実名でないのは残念ですが)を自費購入して新人社員に勧めてきました。(GIGに居たN君、未だに私に返却してないよ。)
私と同様に、「動かないコンピュータ」の購読によって、多くのシステム導入の失敗要素を事前回避する事が出来たSI営業マンも多いのではないでしょうか。
そして、その結果避けられたIT導入失敗に伴う経済的損失は計り知れないと考えます。

近眼視的な、報道への無用な圧力は、先々で自らの企業利益を反って害する結果になると私は思っています。

ちなみに皆さんご存知の通り、成功例だけを大々的に取り上げて、提灯行列の如く応援賛美する記事を「ちょうちんきじ」と言います。

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