上海で日本語を話している中国の若者達

中国人に囲まれて日本語で通していく日常の出来事を書き綴っています。

中国で働く必要条件

2010年02月20日 | 日記
休暇中に日本からある人物の中国での労働可能かとのとお問い合わせを頂いた。

妙齢の独身女性であるようなのだが、現在は大手でそれなりの給与を取っている方らしい。
以下は、その問いかけへの返信。

---------------------------------------------------

新年好 平素は大変お世話になっております。 TESの東です。
さて、ご紹介頂きました方ですが、上場企業系列にお勤めで、現在それなりの年収が有るとの事。
日本の現在の平均年収が300万円であることを考えると、今の職場を御辞めにならない事をお勧めします。
この様に小生の考える理由は、以下の4点です。

1.決して帰国後のキャリアとならない事。
この方の場合には将来今回の転職が、 海外大学機関勤務として、研究職としての海外キャリアパスにはならないでしょう。
また、新卒大学生の半数が正社員になれない日本の就職状況から、 現職相当への正社員での復職は難しいでしょう。
(生涯年収で5千万円程度違う筈です。)

2.日本での経営管理層経験が無い事。
外国で、外国人エンジニアを束ねるのであれば、大なり小なり組織経営経験を問われます。
特に経営幹部となれば、某氏の様にMBAとは言わないまでも、日本で相応の管理職経験・もしくはライセンスを要求されます。

3.こちらでの表向きの年収が決して20万RMB(260万円)を超えない事。
先日上海で御話した通り、国家主席の給与額を超える事が原則出来ない中国政府系IT企業では、如何に評価が高くても、 中国人民の資産である公司の被雇用者である以上、業績に伴う大幅な収入増加が見込めません。
(恐らく生涯賃金で1億円以上違います。)

4.何らかの現地人脈との同族コネクションが無い事。
事故、病気、災害、犯罪と、日本に比較すると普段の生活に於いて、非常にリスクの高い国であることは 相変わらずです。
(日本が世界的に最も生活リスクの低い珍しい国であることは意識すべきと思います。)
その上、今の高齢者が幼少時に日本軍が直接蹂躙した国なのですから、根本的な対日感情が改善するには、 マダマダ時間が掛かるでしょう。
こうした日常のリスクを回避する為には、現地での血縁や姻戚関係は長期就業という段階で必須です。
極論を言うと、言葉が不自由な未婚妙齢の日本人女性でしたら、嫁不足の田舎では攫われかねません。

従って、将来中国で起業し、中国で年金を払い、中国で一家を構え、出来れば最後は中国で土に還る覚悟の方でないと、 なかなか難しいかと存じます。
(あと、日本の10倍近い交通事故や疫病に遭わない強運の方。田舎の医療体制では助かる可能性は限りなくゼロです。)
この為、当地の日本人IT従事者には、経営管理職経験の有る、40代バツ1独身男性が非常に多いといえます。
(日本にもう思い残す事の無い中年男限定の国際戦地であり、パラダイスが今の中国と云った所でしょうか。)

恐らくこの方が納得行く条件的企業候補は、外国資本比率の大きな外資、若しくは外国独資企業。 出来れば中国現地採用では無く、本国本社採用というところでしょうか。
従って、どうしても中国のIT業界で働く事に未来を賭けたいのでしたら、日本国内で中国開発拠点開設要員としての、求職活動をされては如何でしょうか。
ただ、現在の日本企業の現状を鑑みるに、未婚女性の非研究職を中途採用で海外拠点に派遣する可能性は、 極めて低いと思われます。
(英語がご堪能なら、欧米系、香港・台湾系企業もありかもしれません。)

小生としては、日本に二人の娘を持つ身として、この方のご両親の心情も慮ると、現職に留まる事をお勧め致します。

甚だ明け透けにネガティブな事ばかり書き連ねました事をお許し下さい。
今後とも宜しくお願い申し上げます。

追伸 何故外国人未婚女性が発展途上国で生きるのが難しいかをこの方に知って頂く為には、、 ハンフリーボガード主演のアメリカ映画「アフリカの女王」をご鑑賞する事をお勧めします。

-----------------------------------

実際、この文面が当人にどの様に伝わるのかは判りませんが、上海に居て立派に成功している妙齢の女性達は、それなりの時間を掛けた準備と覚悟を持って来ています。
その事が伝わってくれると良いのですが。
(もっともこの条件は、女性に限った事でもないですが。)

写真は豫園の定点観測地点からの今年の様子。
毎年池が派手になります。

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村