上海で日本語を話している中国の若者達

中国人に囲まれて日本語で通していく日常の出来事を書き綴っています。

「小国寡民」と「足るを知る」

2010年02月09日 | 生活
昨日、宮東合流に当たって大変お世話になった方が来海したので昼食をご一緒しましたが、最近の日本事情を聞くに付け、世論が小国寡民を善しとする風潮に傾いている様に思われました。
20年(超低金利政策が始まってもうこんなに長いのですね)に亘る社会の停滞、いや、衰退ですが、2010年は、先般の民主党政府によるデフレ宣言を契機に一気に凋落国家である事を国民に意識付けした年になりましたね。
まるで、16世紀の英国に覇権を握られた時のオランダ、スペインや、数十年前のポンドが基軸通貨の座から滑り落ちた時の英国の様です。

更に、お話の中で、50代で現在失業中のその方の失業保険の上限額が一日7千円に決まっていると知って暗澹たる気持ちになりました。
それって失業したら最低限の生活を補助するけれど、今まで給与からは決まった割合で天引きしたのは知らないよって言う事ですか?
今まで給与基準比で貰った人は貰い得ですか、そうですか。
この手のひら返しに大衆市民が納得する社会って何でしょう?
低迷する経済と貧弱な社会保障ではまるで、旧ソ連型社会主義国です。
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と同じ社会ですね。
国家経済が破綻していますと国民に宣言しているに等しいのでは無いでしょうか。

さて一方で、ご存知好景気に沸く、今私の居る中国は社会(共産)主義国家ですが、文化大革命時の「非孔非林」運動への改革開放後の反動から、孔子の思想「儒教」の色が社会に戻って来ています。
これに小平氏の史的唯物論と先富主義が合わさって、およその現在の大衆心理の基本方向は「正統な規範を基に経済拡大、繁栄あるのみ」です。
そんな社会主義市場経済拡大解釈の風潮に危機感を持つ党指導部が唱えているのが「和階社会」(調和のとれた、ゆとりある優しい社会)です。
TVや新聞、ネットでの中国政府プロパガンダには、頻繁に「足るを知る」というメッセージが現れます。
中国民衆の貪欲な経済拡大に、何とか自制心を持って欲しいという指導部の苦悩が滲みでています。
注意すべきは、老子の唱えた「小国寡民」は、為政者の視線から観た国の治め方ですが、「足るを知る」は自戒の心構えという点でしょう。

「衣食足りて礼節を知る」社会に向かいつつある中国と、その真逆の道を歩みつつある日本の様に思えました。

昼飯時の、私の幻想であるに越したことは無いのですが。

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