『今日の出来心』

シンガーソングライター&作詞家“久保田洋司”の365日書き下ろし公開日記です
since 2000.3.7

2009年3月13日(金)

2009年03月13日 00時00分01秒 | Weblog
昨日は、「万葉集~ココロ・ニ・マド・ヲ」の
収録に出かけたのである。

またまた、素晴らしい映像と、音楽で、
スタジオの大きいモニターと、音量で、
視聴するのは、とても気持ちが良い。

天の香具山などに、霞が、かかって、
まるで、雲の上に香具山があるように見える、
荘厳な景色。

葛城山にゆっくり沈み行く夕日。

徐々に公開になるので、
お楽しみいただきたい。

昼間に、NHK教育の
「日めくり万葉集」を見たら、
昨日も、選者は、中西進先生で、
やはり、いつも明日香村で、
楽しいお話をたっぷり聞かせていただいているもので、
とても、嬉しく拝見したのである。

昨日は、
先生が、万葉集で、一番好きなのはどの歌かと、
聞かれたら、これです、と答えるとおっしゃる、
「吾が恋は まさかもかなし 草枕
  多胡の入野の奥もかなしも」
についての、お話であった。

この恋は、今もかなしい、行く末もかなしい、
という、歌である。

哀しい、というのは、
元々は愛しい、で、
愛しい、は、かなしい、とも読む、と。

大事なものが、失われたりすると、
愛しいから、かなしいのだ、
愛しくなければ、かなしくは、ない。
だから、愛しいは、かなしい、と同じこと、と。

この、かなしい、というのは、
都には、なかった表現で、
大伴家持が、東国の言葉のなかに、
それを発見したのだそうである。

あるいは、都の人々が文化的な暮らしの中で、
忘れてしまったいた感覚が、
まだ、東国には残っていた、ということかもしれない、と。

中西先生の、全訳注、原文付の、講談社文庫「万葉集」の、
この歌のところには、「○秀歌」と書いてある。

パラパラっとめくって、「○秀歌」を他にも探してみたら、
こんなのがあった。

「夕されば 君来まさむと待ちし夜の
 なごりそ今も 寝ねかてにする」
(訳)夜が訪れると 
   あの方がいらっしゃるだろうと
   待っていた頃の夜の なごりだなぁ
   今でもすぐには寝られないことよ

いいのがいっぱいある。
今までは、「万葉集~ココロ・ニ・マド・ヲ」で、朗読をするから、
知る歌が、多かったが、
今後は、自分で好きな歌を、いつか朗読するのが、
楽しみである。

洋司