『今日の出来心』

シンガーソングライター&作詞家“久保田洋司”の365日書き下ろし公開日記です
since 2000.3.7

2008年5月31日(土)

2008年05月31日 00時00分01秒 | Weblog
ある歌は、なかなかイメージどおりに歌いきれず、16テイク録音していたのである。それも、全部、良いテイクを残すために努力し、何回も歌い直した末の、16テイクである。冗談ではなく、100回以上歌った。今思えば、歌い過ぎである。はじめに8テイク録っておいたものが、いまひとつに思えて、後日、8テイク録り直した。ところが、編集のために聞き返してみると、はじめの、それもごく初期の録音がいいのである。後になるほど、文字通り、歌い過ぎていて、なにか表現が過多である。日をおいたから、感じ方も変わったのかもしれない。録音の直後だったら、後のほうのテイクを中心に、編集したかもしれない。声やニュアンスがだいぶ違うものになる。耳が、編集の耳になっているのである。さらに何年もたってから、聞き比べたとしたら、どれも同じに聞こえたりもするかもしれないし、最後のテイクが一番いいように聞こえたりするのかもしれない。今日の段階で編集し完成されたものが、正調となり、ほかのものは、別テイクということになる。一種のスリルである。

洋司

2008年5月30日(金)

2008年05月30日 00時00分01秒 | Weblog
僕が「東大寺」と言おうとすると、「と」にアクセントがつく。東大寺のお坊さんが、「東大寺」と発音するのを聞けば、「うだ」あたりなのであった。空海も、そのように発音していたのかなぁ、と絵でしか見たことのない空海の、声や話し方を思ったところである。たぶん、会っても、わからないだろうと思う。

洋司

2008年5月29日(木)

2008年05月29日 00時00分01秒 | Weblog
ヘッドホンで、しばらく音を聞き、無音の時にもヘッドホンをしたまま、次の操作をしていると、耳鳴りのようなものと一緒に、ミンミンゼミの鳴く声のようなものが聞こえる。早朝、やっと明るくなった頃。去年の暑い夏を思い出すようである。まさか、とヘッドホンをはずすと、やはり、世界はしーんとしている。耳鳴りが、密閉型のヘッドホンの中で、増幅されるような感じで、ミンミンゼミになっているのである。思いがけず、夏を先取り。

洋司

2008年5月28日(水)

2008年05月28日 00時00分01秒 | Weblog
無重力の夢を見たのであるが、なかなかに無理のある無重力なのである。手足を無重力が持ち上げている。ふわりと浮かぶ感じではないのが、おかしい。
最近、ある俳優が、映画のキャンペーンのために無重力体験をして、具合悪そうにしている映像を見た。「浮かんだ、浮かんだ」と叫んでいたが、あの浮かんだ感が、こちらの夢には、なく、夢の中で、これは無重力じゃないじゃないかと、おかしがっているという。
夢話で、恐縮である。

洋司

2008年5月27日(火)

2008年05月27日 00時00分01秒 | Weblog
子供の頃に、考えるのは、何故、自分は自分で、目の前にいるこの友達ではないのか、というようなことで、入れ替わってみようと、一生懸命、力を入れたりしてみるが、ダメである。
毎晩、20分ほど走って、筋トレを少しして、汗びっしょり。あの汗も、ちょっと前までは、この体の一部で、僕というものの、何かではあったろうと思うのである。
水を飲む。僕というものの何かであったものが、水と入れ替わるような気がするのである。それを繰り返すうちに、すっかり、入れ替わったりしそうなことである。しかし、水はまた、僕というものの何かに、なって、何か違うものには、ならないのであった。

洋司