最近なぜか、万葉集の歌に関する番組によく出会う、NHKで「ひめくり万葉集」の特集番組を楽しく見た。
通常版の番組は、月曜から金曜日の早朝午前5時から5時5分教育テレビで放送されている。詳しくは、次のURLから
http://www.nhk.or.jp/manyoushuu/bangumi/index.html
さて、なんといっても小生が子供の頃一番に覚えた歌は次の歌である。
803番 銀母 金母玉母 奈尓世武尓 麻佐礼留多可良 古尓斯迦米夜母
しろかねも くがねもたまも なにせむに まされるたから こにしかめやも
「銀も金も玉も、何の役に立つというのか。どんな優れた宝も、子どもに及ぶものがあろうはずもない。」
そして次に覚えたのが、この歌である。
337 憶良等者 今者将罷 子将哭 其彼母毛 吾乎将待曽
おくららは いまはまからむ こなくらむ それそのははも わをまつらむぞ
「憶良はもう退出しよう。子どもが泣いているだろう。その子の母も私を待っている事だろうよ。」
更に、次の歌を聴いたとき、一番に浮かんだのが、銭湯の壁の絵だった。
318番 田兒之浦従 打出而見者 真白衣 不盡能高嶺尓 雪波零家留
たごのうらゆ うちいでてみれば ましろにぞ ふじのたかねに ゆきはふりける
「田子の浦から眺望の良いところに出て眺めてみると、真白に富士の高嶺に雪が降っていることだよ。」
今回、特集番組で初めて知ったのが次ぎの歌である。この歌は、小生くらいの年にならないと到底理解できない歌である。
大宰大監大伴宿祢百代の恋の歌
559 事毛無 生来之物乎 老奈美尓 如是戀乎毛 吾者遇流香聞
こともなく いきこしものを おいなみに かかるこひをも あれはあへるかも
「これまで何事もなく生きてきたのに、年老いてから、私はこんな恋に出会ってしまったよ。」
これまで何事もなく平々凡々に生きてきた小生もこの点では作者と全く同じ境遇であるが、次が大きく違っている。
「年老いてから、私はこんな恋に出会ってしまったよ!」とシヤーシャーといえる境遇には全くないことである。万葉の時代に生まれたこの作者がうらやましいのである。
万葉の時代には「言霊」(ことだま)」が信じられていたという、小生も「言霊」を信じて、この歌を朝夕唱えることにしよう。
おまけ;歌番号からの検索は次のURLから、 http://gpeach.nobody.jp/manyou/menu.html