本が好き 悪口言うのもちょっと好き

読書日記です。っていうほど読書量が多いわけではないけれど。。。

ホットゾーン

2009-05-05 | ノンフィクション
ホット・ゾーン
リチャード プレストン
飛鳥新社

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 先日読んだ、”人とウィルスの果てしなき攻防”の中でとても面白い本として紹介されており、図書館に申し込もうかと思っていたところ、古本屋で105円で売られているのを発見しました。

 

 

 ”エボラ出血熱”などでしられる、殺人ウィルスについてのノンフィクションです。あとがきによると、ダスティン・ホフマン主演で話題になった、映画”アウトブレーク”は、本書がきっかけで製作されたものだそうです。

 

 

  1976年ザイールで、ベルギー人の経営するヤンブク慈善病院から感染が広がり、感染者318名、死者は280名を記録してこのウィルスは身を潜めた。この致死率だけでも恐ろしいのだが、本書で描かれている感染者が死に至るまでのその症状が、本当に恐ろしい。

 

 

 目が真っ赤になり、皮膚細胞もやられてしまったためそして脳障害もおこすためか、顔がゾンビのようになる。そして、”炸裂”と表現される大量出血の様子は、とても現実のものとは思えない。吐血される血、肛門から放出される血の塊。その中にはウヨウヨとウィルスが存在しているのです・・・・。

 

  

 怖すぎる。

 

 

 そして、そのエボラウィルスが1989年、アメリカのワシントンD.C.近郊、実験用などに動物を輸入、販売する会社の検疫施設、通称”モンキーハウス”と呼ばれるビルに出現しました。

 

 

 このウィルスと対決したのが、USAMRIID(US Army Medical Research Institute of Infectious Diseases )でした。現在、豚インフルエンザで頻繁に耳にする、”CDC(米国疾病予防管理センター)"とは別の、陸軍の組織で、以前は生物兵器の研究開発をしていたところだそうですが、当時はすでに生物兵器は禁止になっていたので、主に、生物兵器を使った戦争などで起こされたバイオハザード対策のための研究施設となっていたようです。

 

 

 宇宙服は、宇宙で切る服だと思っていましたが、実はエボラなど危険な微生物を扱うときも着るんですね。この宇宙服を着て、このモンキーハウスを”制圧”するまでの、緊迫したドキュメントが本書のメインストーリーです。

 

 

 エボラ制圧作戦は、或る意味、戦争と同じかそれ以上に生命の危険を伴うわけです。そして、それは遠い国の砂漠が舞台いではなく、アメリカ本土での市街戦ともいえるもので、ひとつ間違えば、一般人を巻き込む危険が高いのです。

 

 

 SARS以降、伝染病に対する危機感が世界中に広まりましたが、、昨今の豚インフルエンザで明らかになったように、世界は、何をするべきなのかまだまだ手探りまmだということが明らかになりましたよね。とはいえ、とりあえずは毒性も低いということがはっきりするまでにも結構時間がかかりましたし・・・。

 

 

 しかし、これが致死率90%のエボラウィルスだったら・・・・。

 

 

 閑静な住宅街の横で、宇宙服を着た人たちがうごめいていたら・・・。

 

 怖い・・・。人々は冷静に行動できるだろうか・・・。きっと無理。

 

 

 とりあえず、豚インフルエンザなんかで大騒ぎしすぎという声もありますが、こんな本を読むと、とりあえず毒性の低い、新型インフルエンザの登場は、考えようによっては、人類にとっては格好の予行演習。

 

 まだまだ恐ろしいウィルスがこの世に存在するということを知る上でも、今読めばとても面白い本かもしれません。

 

 

 

 



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