本が好き 悪口言うのもちょっと好き

読書日記です。っていうほど読書量が多いわけではないけれど。。。

三匹のおっさん 有川浩

2013-11-13 | 小説

軽い小説が読みたくて、図書館で見つけたので借りて読みました。

「阪急電車」、「フリーター、家を買う」に続いて3冊目の、有川浩作品、

軽い読み物を探している時には、間違いのない選択でした。 

三匹のおっさん
有川 浩
文藝春秋

装丁から想像できる通り、内容はマンガです。

一応、私が”マンガ”と表現するのは、

ファンタジーではないけれど、設定にリアリティがない場合。

ただ、リアリティを出そうとして失敗したとかそういうことではなく、

この世界では、それでいいんだという了解のもと書かれているものを

私はそう表現させてもらっています。

もしかすると、それを”ライトノベル”というのがほぼ一致するということなのかもしれません。

 

子供のころから仲の良い、定年世代のオヤジ3人が、私設自警団を結成し、

町に起こる犯罪を人知れず取り締まるというパターンで6話から構成されています。

また、おっさんの一人、剣道の達人キヨの孫で高校生の祐希と、

頭脳派のおっさんノリの娘でやはり高校生の早苗とのラブストーリーが絡んでいるので

マンガ感たっぷりです。

とにかく罪のないお話で、読みやすいし、人情感たっぷりだし、

その上、久し振りの高校生のいじらしいラブストーリーに

ドキドキしたりして、軽いけれど、楽しい読書でした。

心が疲れているときには、ピッタリです。


分断されるアメリカ サミュエル・ハンチントン著

2013-11-03 | 評論

 分厚い本で、とりあえず読み終えることを目標に読み始めました。

分断されるアメリカ ナショナル・アイデンティティの危機
サミュエル・ハンチントン著 鈴木主税訳
集英社

 過去三世紀半にわたってあらゆる人種、民族、宗教のアメリカ人によって受け入れられてきたアングロ-プロテスタントの文化と伝統および価値観に、アメリカ人はもう一度立ち返るべきなのだ。これらのものこそ、自由、統一、繁栄の根源だったのであり、そして世界における持続した勢力として道徳的なリーダーシップを発揮してきたもとだったのである。

 子供の頃、「外国」の代表がアメリカでした。

 私の夫は白人ですが、知らない人から、「アメリカ人ですか?」と聞かれることはあっても、それ以外の白人の国の人ですかと言われたことはありませんから、実は今でも、そういう感覚の人、多いのではないでしょうか。

 ここ20年、私自身のアメリカに対する印象はずいぶん変わりました。 どちらかというと、悪い方に・・・。

 そして、上に引用したような言葉を読めば、最近の私なら、「何様!?」って思っていたかもしれません。

 しかし

 アメリカ人は移民と同化について論ずるさい、移民を差別せずに一般化する傾向にあった。こうして彼らは、ヒスパニック移民-なかでもメキシコ移民-が突きつける特殊性や難題、あるいは課題に目をつぶってきたのだ。少なくとも2004年までは、メキシコ移民に関する論争を避け、この隣国との総合的な関係という幅広い問題を、それが他国との問題と変わらないかのように扱うことによって、アメリカ人はアメリカという国が今後も、一つの国語とアングロ-プロテスタントという共通の主流文化を持つ国であり続けるのかという問題も避けているのだ。だが。その問題を無視することは、それに答えてもいるのであり、アメリカがいずれ二つの民族と二つの言語と二つの文化をもつ国に変貌することを黙認しているのである。

 というような文章を読めば、見方も変わります。

 日本とはそもそも国の成り立ちが違うわけで、単純に比較はできませんが、もしも日本で同じように、例えば隣国から大量の移民が合法、非合法になだれこんできて、日本語が通じないような町が出てくるというようなことになれば、かなりの”ヘイト”リアクションが巻き起こると思います。

 礼儀正しい日本人でいられるかどうか・・・。

 そう考えると、オバマケアに多くのアメリカ人が反対するのをみて、あまりにも非寛容と思っていましたが、日本人には考えられないくらい、寛容なのかなとか・・・。

 ただ、もしかして、そういう国内の軋轢を、”テロとの戦い”に目を反らせることで、国としての一体感を維持しようとしているということも言えるのでしょうか。

 とにかく読み終えるという目標だけはなんとか達成しました。

 私程度の読み手にはとても総括はできませんが、アメリカという国のあり方を通じて、自分の国である日本を見る新しい視点を得ることができて、読んでよかったと思える一冊でした。