第135回直木賞受賞作を掲載した昨年の9月号のオール讀物を図書館でみつけて読みました。そうか、この手なら受賞作をややはやく図書館で借りて読むことができるんだと、今更気がつきました。
芥川賞だと私には、さっぱりわからないことが多いのですが、直木賞はかなり分かりやすいので、そこそこ楽しみにしているのですが、ちょっと物足りない感じがしましたが、世間の評価はどうなんでしょうか。
確かに国連難民高等弁務官事務所で働く主人公という設定に、作者のやる気を感じます。そして、その女性が、帰国子女で英語はベラベラ、以前は外資系に勤めていたという経歴から想像できるイメージに反して、特に高い理想や上昇志向もないという設定も、とても面白いと思いました。
主人公は、この東京の事務所でスタッフとして働いている。同じ事務所で知合ったエドというアメリカ人と結婚したが、殆どがフィールド(被支援国)に行って、年に10日程しか一緒に過ごせない。日本にいる彼女と、この世の地獄で仕事をする彼との間には、当然のように溝ができてしまい、結局は離婚するのですが、その後、彼はフィールドで命を落とします。その彼の遺志を最後に彼女は理解し、自分もフィールドに出る事を決心するというお話です。
いろんなエピソードが織り込まれていますが、面白いなと思ったのは、設定だけでした。国連というとても大きな舞台装置を使って結局は、少女漫画的な展開で終わったなぁと言う感じでした。なんでこれが賞をとれるのかなぁ・・・・。でも最近、こういう少女漫画的な小説は確かに人気があるから、直木賞という性格上、”売れる本”という評価も必要なのかもしれませんね。
選考者の評もいくつか掲載されていましたが、結構褒めている人も多く(受賞したんだから当然か)、けなしていたのは渡辺淳一氏のみでした。なんか、複雑・・・・。私のセンスは、頑固爺さん的なのでしょうか。