本が好き 悪口言うのもちょっと好き

読書日記です。っていうほど読書量が多いわけではないけれど。。。

それ行け! トシコさん  群ようこ

2007-05-02 | 小説

 

 ”最近軽いものしか読めなくなってねぇ”という友達が貸してく本です。設定はかなり暗いが、読めばなんか元気がでてくる本でした。

 

 若い頃はスペイン人と間違われる容姿をもち、外資系の会社に勤め、重役と不倫も経験したトシコさんも現在45歳。不倫を断ち切るために退職し、気分転換に旅行に行った先で、知り合った男性とアバンチュールの結果のできちゃった婚で、6人兄弟の末っ子なのに、何故か不幸にみまわれ兄弟が次々になくなり、舅の介護をする羽目に。おかしな宗教に入れ込んでいる姑、頼りにならない夫、何を考えているか分からない娘。そんな日常が、コミカルに描かれています。

 

 まさしく漫画のような安易な設定ですが、なぜか恩田陸などを読んで感じる漫画だなぁという感覚とは違って、私にはまだこちらの方が受け入れられました。私の勝手な想像でいうと、群さんは、小中学生のころ、それほど漫画を読んでないのではないでしょうか。だから漫画的構成は、”狙い”で使うことはあっても沁みこんでいない。けれど、恩田陸の場合は、本人の意識にあるかないかは別として沁みこんでる。その違いのような気がします。ま、単にコミックとシリアスの違いだけかもしれません。

 

 とにかく、若い頃はスペイン人と間違われたくらいの彫りの深い顔立ちやスタイルが、何の役にもたっていない設定が面白い。45になればお腹に脂肪もつくし、介護中心の毎日では身づくろいにも気が回らない。田舎町で、ごく普通の主婦として生活するのに役立つのは彼女の負けず嫌いの性格くらい。若い男に憧れられるというのは、夢の中のできごと・・・。

 

 しかし、人生の悲劇も考えようで喜劇。どのように向き合うかで人生を悲惨なものにするか、それなりに幸せにできるか違ってくるんだなぁと思いました。子育てをしている人、介護をしている人などには、ちょっと違うわよ~といわれるのでしょうか?それは分かりません。

 

 この本を貸してくれた友人も私と同い年で、親の介護はもう、人事ではありません。この本を前に、自分の年齢や親のことなんかをしんみり話しこんでしまいました。生活に疲れてしまったとき、読み直してみる価値のある1冊かもしれません。