無芸大食
無芸大食―Tanabe Seiko Collection〈6〉 (ポプラ文庫) 田辺 聖子 ポプラ社 このアイテムの詳細を見る |
本好きの友達がおいて言ってくれた1冊です。
自分で本を選ぶと、貧乏性の私は、どうしても”自分の血肉になりそうな”ものをなんて思ってしまって、結局、偏食気味になっちゃうので、こういう一種、押しかけ的に私の手元にきた本を読むのもいいなぁというのが感想でした。
食にまつわるお話を、若いとはいえない男女のちょっとした機微みたいなものと絡ませて、田辺聖子ってあんまり読んだことないんだけど、やっぱり美味い(って言う字になるような内容です)!
定年まで数年というよくできた独身OLの話や、課長からヒラに降格になって、嬉々としている中年男の話、離婚して男やもめの人暮らしになっても、”それなり”にちょこっと料理なんかをして満足して暮らしている男など、世の中では、”負け組み”と言われそうな”小市民”が主人公の短編集です。
”あとがきにかえて”ということで、著者のインタビューを編集したような文章がのっているのですが、そこで、
”日本の小説は色気があまりないのね。色気っていったら、あっちの方ばっかりになっちゃうけれど、そうじゃなくて、ただ男と女が二人いても色気はでるもんなんです。そういう色気を書く人があまりいないわね。二人だけのときにたちこもる色気、とか。浸りで「食べようかこれ、おいしそうやないか」「でもひとつしかないねん」「割ったらええやん」ってね。”
って語っておられます。確かに、こういうのを色気というのかどうか分からないんだけど、これから高齢化社会になって連れ合いをなくした人、結婚しない人、離婚した人などシングル率が増えていっているこの社会で、今更結婚でもないけど、一緒にご飯食べる異性がいたら、ちょっと嬉しいって、その程度の色気が必要よ!っていう感じ、わかる気がします。
さらさらって読めちゃって、後味もいいけれど、絶対に勝間和代は読まない本というか、カツマー的には絶対に目指してはいけない姿かも。(とはいえ私自身が勝間和代は読まないことにしているので、噂から勝手に想像しました。)