本が好き 悪口言うのもちょっと好き

読書日記です。っていうほど読書量が多いわけではないけれど。。。

秘太刀 馬の骨  藤沢周平  文春文庫

2005-09-24 | 小説

 NHKの金曜時代劇でただいま放映中(2005/08/26から)でした。昨日、初めてみましたが来週で最終回でした。まあ、最初から知っていても見られなかったでしょうが。

 6年前の家老暗殺事件の折に、死体の傷口から使われたのは、”馬の骨”と呼ばれる秘伝の剣法だった。現在の家老である小出帯刀から、それが誰の手によるものかを探し出せと下命された、2人の侍。一人は家老の甥で江戸からこのために呼び寄せられた銀次郎。そして、若い銀次郎のお目付け役として選ばれたのが半十郎。銀次郎自身かなりの腕利きで、何人かの候補者と順番に試合をして、その件の使い手を探し出そうとします。最後の最後にはこの使い手がわかるのですが・・・。

  と、藤沢周平にはめずらしいミステリー仕立てです。とはいえ、私自身、これがミステリーだと気がついたのは、読み終えて、”意外な犯人”という出久根達郎氏の解説を読んだときなのでした。えーこれって犯人探しだったのかぁと感心するあたり、自分でも抜けてると思いました。  藤沢周平の作品を読み始めたときに、そういう趣向だとは夢にも思っていないのでうっかりしてたのですね。犯人が誰だろうと言うことはちっとも気にしてなくて、はんなりといい気持ちにさせてくれることだけを期待してたのです。それはちょっと裏切られたかな。でも犯人探しというミステリーの楽しみを期待してもやっぱり物足りないと思います。

  ドラマの方は、きのうチラッとみただけで良くわかりませんが、その辺を少し考えたのか、銀次郎と半十郎の関係や、半十郎と妻の関係なども少し変えているようでした。全体としてドラマが”蝉しぐれ”に比べてあまり話題にならなかったのは、脚本・演出のせいではなく、やはり原作の違いではないかなと思います。 きっと、担当の編集者から”藤沢先生、今度はひとつ趣向をかえてミステリーにしてみませんか”と言われて仕方なくやってみたんじゃないかなぁ・・・・。おかげで、こんな中途半端でなくどっぷりと癒されたくなって、久々に藤沢作品を読んで見たくなりました。