自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

<大飯原発>「安全性に欠陥」 福井地裁、運転差し止め判決

2014年05月22日 | Weblog

(朝刊より)
 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働は危険だとして福井県の住民ら計189人が関西電力を相手取って運転差し止めを求めた訴訟の判決が21日、福井地裁であった。樋口英明裁判長は住民側の主張を認め、運転差し止めを命じた。東京電力福島第1原発事故を念頭に「大飯原発は地震の際の冷却や放射性物質の閉じ込めに欠陥があり、原発の運転で人格権が侵害される危険がある」と厳しく指摘した。原発の運転差し止めを命じた司法判断は福島事故後初めて。電力会社の再稼働判断にも影響を与える可能性がある。関電側は控訴する方針。

 過去に運転差し止めが認められたのは、2006年にあった北陸電力志賀原発2号機(石川県志賀町)に関する金沢地裁判決(高裁で逆転し確定)だけだった。

 主な争点は▽耐震設計の基準となる「基準地震動」は適切か▽大地震の際に冷却機能が働くか▽使用済み燃料プールの放射能漏れ対策は十分か--などだった。

 基準地震動について関電は、敷地周辺の断層による地震を想定すると700ガル(現在は856ガルに引き上げ)が適切と主張。しかし判決は理論上の数値計算よりも、各地の原発で05年以降、基準地震動を超える揺れが5回観測されている事実を重視し、大飯でも同様の危険があるとした。

 冷却機能に関して判決は、想定を超える地震が起こればメルトダウンに結びつくと指摘。地震動が想定内でも電源が失われる恐れがあると指摘した。さらに燃料プールに関しても、福島原発事故の際に燃料プールが危機的状況に陥ったことを例に、原子炉格納容器と同等の、より堅固な施設が必要とした。

 また、訴えを起こせる住民の範囲に関しては、福島事故の際、原子力委員会委員長が原発から250キロ圏内の避難勧告を検討した経緯から、250キロ圏内にまで広く認めた。

 大飯3、4号機は昨年9月に定期検査のため運転停止した。これに先立つ同年7月に関電は再稼働を申請しており、現在、原子力規制委が審査中。判決には、判決確定前に内容を実行する「仮執行宣言」が含まれていないため、判決が確定しない限り、審査に適合すれば原発は運転できる。ただ、再稼働の前提として地元同意は不可欠で、司法判断が確定しない中での再稼働は事実上、難しい状況だ。

自衛隊機 夜間差し止め 厚木基地、米軍機は認めず

2014年05月22日 | Weblog

(朝刊より)
 在日米海軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県大和、綾瀬市)の航空機騒音に対し、住民約七千人が国に損害賠償と自衛隊機、米軍機の夜間・早朝の飛行差し止めを求めた第四次訴訟の判決で、横浜地裁(佐村浩之裁判長)は二十一日、自衛隊機の毎日午後十時~翌午前六時の飛行差し止めを命じた。米軍機の飛行差し止めは「国の支配の及ばない第三者の行為」として退けた。基地の航空機の飛行差し止め判決は全国で初めて。また、一~三次訴訟の確定判決同様、騒音の違法性を認め、国に総額約七十億円の損害賠償の支払いも命じた。

 原告は大和市と綾瀬市、東京都町田市など基地周辺のうるささ指数(WECPNL=W値)七五以上の区域の住民。第四次訴訟では損害賠償などを求めた民事訴訟のほか、基地騒音訴訟では初めて行政訴訟で、国に自衛隊機と米軍機の飛行差し止め、米軍機の滑走路使用許可禁止なども求めていた。

 佐村裁判長は、自衛隊機について「運航は防衛相の権限行使に当たり、住民に騒音の受忍を義務付けている。騒音による睡眠妨害は健康被害に直接結び付く相当深刻な被害」と違法性を指摘。「毎日午後十時~翌午前六時、やむを得ないと認める場合を除き運航させてはならない」とした。

 ただ、防衛省南関東防衛局によると、厚木基地では一九七一年に日米共同使用を始めて以降、自衛隊機は海難救助などの緊急時を除き、この時間帯の飛行は自主規制している。

 過去分の損害賠償は、W値の大きさにより月四千~二万円の五段階で支払いを命じたが、将来分は一~三次訴訟同様に退けた。

 小野寺五典防衛相は「国の主張に理解が得られず残念。判決内容に受け入れがたい部分があり、慎重に精査し、適切に対処したい」とコメントした。

 ◆横浜地裁判決骨子
▼防衛大臣は、厚木基地で午後十時から翌日午前六時まで、自衛隊機を運航させてはならない
▼国が米国に基地使用を許可する行政処分は存在せず米軍機の飛行差し止めを国に求めることはできない
▼国は住民に対し、損害賠償として総額約七十億円を支払え
▼騒音被害は健康や生活環境に関わる重要な利益の侵害だ