ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『お嬢さん』を観て

2017年03月28日 | 2010年代映画(外国)
韓国映画、『お嬢さん』(パク・チャヌク監督、2016年)を観てきた。

1939年、日本統治下の朝鮮半島。
世間とは隔絶した辺鄙な土地に建ち、膨大な蔵書に囲まれた豪邸から一歩も出ずに支配的な叔父と暮らす華族令嬢・秀子。
ある日、秀子のもとへ新しいメイドの珠子こと孤児の少女スッキがやって来る。
実はスラム街で詐欺グループに育てられたスッキは、秀子の莫大な財産を狙う“伯爵”と呼ばれる詐欺師の手先だった。
伯爵はスッキの力を借りて秀子を誘惑し、日本で結婚した後、彼女を精神病院に入れて財産を奪うという計画を企てていたのだ。
計画は順調に進むが、スッキは美しく孤独な秀子に惹かれ、秀子も献身的なスッキに心を開き、二人は身も心も愛し合うようになってゆく・・・
(Movie Walkerより)

お嬢様と、その莫大な資産を狙っている詐欺師に侍女、それに偏屈な叔父が絡んでの騙し合いのストーリー。
おまけとして、エロティックありのサスペンス調。

この作品は3部からの構成となっている。
第1部は、スッキの視点からの物語り。
第2部は、1部の展開内容をお嬢様・秀子からみた視点と、秀子の過去・少女時代。
そして第3部は、秀子とスッキの心理的繋がりと、1部のラストの意味合い。
これらが絡み合って結末はどうなっていくのか、というのが見どころ。

残念なことに、筋書きはこれ以上書いたらルール違反。
内容を知ってしまえば、この映画に対しての興味は半減してしまうはずだから。
要は、話の進行とともに登場人物の心理の意外性が核心となっていて、それが非常に面白い。

この映画で、まず最初に驚くのがセリフの半分以上が日本語であるということ。
日本統治下の戦中が舞台だから、その言葉に違和感らしい感じはしない。
でも、韓国の人たちがペラペラと日本語を喋っているのを聞くと、何となく不思議な感覚になってくる。
それに建物も、立派な和式の外観なのに内部構造は西洋風だったり、どことなく韓国風なところもあって、その異様な雰囲気が独特である。

それよりもっとビックリしたのは、秀子とスッキの肉体的なカラミなんかではなくって、陰部の俗語表現が若い女性の口からぽろぽろ出てくること。
それを聞いていると、自分は上品であると自覚している御婦人が観たなら、きっと眉をしかめるだろうなぁとか、
若いカップルがロマンチックな思いで、初デートにこれを観たなら、絶対にその後は気まずくなるだろうなぁ、といらぬことまで思ってしまった。

そんな箇所が多少あっても、この作品は映画の醍醐味を見せてくれて、
それに映画は初だというスッキ役のキム・テリがとってもよくって、満足感で一杯になってしまった。

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『わたしは、ダニエル・ブレ... | トップ | 『受取人不明』を観て »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Izumi)
2022-07-18 19:46:22
パク・チャヌク監督は、『JSA』が、最高。
色々と勉強になりました。
返信する

コメントを投稿

2010年代映画(外国)」カテゴリの最新記事