ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『エール!』を観て

2022年05月01日 | 2010年代映画(外国)
『エール!』(エリック・ラルティゴ監督、2014年)を観た。

フランスの田舎町で酪農を営むベリエ家。
16歳の高校生ポーラの家族は、両親のルドルフとジジ、そして弟が聾唖者である。
家畜を育ててチーズの販売で生計を立てる家族にとっては、ポーラは健常者との通訳、仲立ちとして必要だった。

ポーラは、気に入る男生徒ガブリエルがコーラス部を希望したため、自分もオーディションを受け入部する。
ポーラの歌声に才能を感じる音楽教師トマソンは、ある日、パリにある音楽学校のオーディションを彼女に勧める。
ポーラは家族のことも考え内緒で、3ヶ月後のオーディションに向け歌の練習をトマソンの自宅で始めた。

その頃、近く行われる村長選に父ルドルフが立候補すると言いだして家族は大忙しとなる。
そんな中、ポーラは両親に歌のことを打ち明ける。
ポーラの歌声を聴くことのできない家族は、彼女の才能を信じることができず、
もし受かってパリに行ってしまったら自分たちはどうすればと不安になり大反対する・・・

1ヶ月ほど前に『コーダ あいのうた』(シアン・ヘダー監督、2021年)を観て、その元となる作品『エール!』を是非観てみたいと思っていた。
観た結果、比較すると、親の職業が漁業と酪農の違い、細かいところでは家族が兄と弟の違い、
また、この作品では父親が村長選に立候補しようとするとかの目に見えた違いはあるけれど、後はほぼ同じ流れ。

本来は『コーダ あいのうた』がリメイク作品なので、この『エール!』から見て『コーダ』の方を感想対象にしなければいけないが、
所詮、観るタイミングが逆になってしまったので以下のような比較印象となってしまう。
『コーダ』は実生活感がリアルに出ていて共鳴するところが非常に多かったが、こちらの『エール!』は生活臭がなぜか薄く、その分全体的にスッキリしていて雰囲気も明るい。
これは良い悪いの問題ではなく、そのような雰囲気が作品の特徴として現われているとしか言いようがない。
だから、『コーダ』を観てしまった後でも、この『エール!』にも十分に感動してしまう。
それ程愛らしい作品であって、もし『コーダ』以前にこれを鑑賞していたならば、その感動は底知れなく倍加していたと確信する。

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