前回からの続き。
『暴露 スノーデンが私に託したファイル』(グレン・グリーンウォルド著・田口俊樹ほか訳、新潮社・2014年)。
国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)という合衆国の二大情報機関に籍を置いたエドワード・スノーデンは、自身の運命と膨大な最高機密文書を筆者に託した。
稀代の情報提供者の実像と、監視国家アメリカの恐るべき実態がいま、白日の下にさらされる。
権力の濫用によって危機に瀕する市民の自由、そして報道の自由―これはもはや、一国の問題ではない…。
(表紙裏より)
著者グリーンウォルドとドキュメンタリー映画監督のローラ・ポイトラス、それにガーディアン紙の記者ユーウェン・マカシキルが香港に旅立つ。
Eメールによるスノーデンからの接触は、それ以前からあり、その経過が詳しく述べられている。
そして、いよいよスノーデンとの対面。
その過程が、サスペンス小説以上の緊張を伴う。
スノーデンは、グリーンウォルドが想像していたよりも随分と若い。
彼の言葉でまず最初に驚くのは、携帯電話は電源が切ってあっても監視でき、冷蔵庫に入れるか、持って来てはダメだということ。
要は、国家はその気になれば、どんな相手だろうがどのようにも監視ができるということ。
セキュリティ対策、という言葉がしらじらしいほどのIT社会。
スノーデンの話は、信じがたい内容を次々と暴露し、暗澹たる思いにかられる。
そしてこれは、米国とか英国だけの話だろうかと、ふと疑問に思う。
グリーンウォルドは、第3章でスノーデンが託した収集ファイルの内容を提示し、
続く章で、監視の害悪、そしてメディアが政府の操り人形となっていることに痛烈に論評する。
この本に書かれている事実の詳細を、いちいち述べるのはやめておこうと思う。
自ら読んだ方がよっぽど内容に説得力があり、かつ、これは万人の必読書だと思うからである。
『スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実』(ルーク・ハーディング著・三木俊哉訳、日経BP社・2014年)。
情報機関による電子通信傍受は、主に9・11テロ後の政治的パニックのおかげで、もはや手のつけられない状態になっていることがわかる。
法的な縛りを逃れ、アメリカを安全にしようと躍起になったNSAと、その兄弟分である英政府通信本部(GCHQ)は、「インターネットをマスター」すべく手を尽くしている。
その結果、世界はスパイ天国と化した。
グーグル、スカイブ、携帯電話、GPS、ユーチューブ、Tor、Eコマース、インターネットバンキングなど、
個人の自由や民主主義に資すると喧伝されたテクノロジーは、『1984年』の著者、ジョージ・オーウェルも真っ青の監視マシンへと変貌している。
(序文より一部抜粋)
この『スノーデンファイル』は、当然のごとく『暴露』の記述とダブった内容となっている。
しかし、『暴露』が個人による視点からであるのに比べ、こちらはスノーデン自身のことについても掘り下げた、いわゆる、やや週刊誌的な記述方法である。
だから、このスクープ記事に対して、客観的な拡がりも感じられる。
もっとも、著者であるルーク・ハーディングは、ガーディアン紙の海外特派員でもあるから、ガーディアン紙のこと、英政府通信本部(GCHQ)の記述も多い。
それが、ちょうど『暴露』を補完する形となって、この二冊によって、記事内容に深みが増してくる。
来春に映画『シチズンフォー』(ローラ・ポイトラス監督、2014年)がDVDレンタルされるはずである。
その時は、再度この映画を観てみようと思う。
『暴露 スノーデンが私に託したファイル』(グレン・グリーンウォルド著・田口俊樹ほか訳、新潮社・2014年)。
国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)という合衆国の二大情報機関に籍を置いたエドワード・スノーデンは、自身の運命と膨大な最高機密文書を筆者に託した。
稀代の情報提供者の実像と、監視国家アメリカの恐るべき実態がいま、白日の下にさらされる。
権力の濫用によって危機に瀕する市民の自由、そして報道の自由―これはもはや、一国の問題ではない…。
(表紙裏より)
著者グリーンウォルドとドキュメンタリー映画監督のローラ・ポイトラス、それにガーディアン紙の記者ユーウェン・マカシキルが香港に旅立つ。
Eメールによるスノーデンからの接触は、それ以前からあり、その経過が詳しく述べられている。
そして、いよいよスノーデンとの対面。
その過程が、サスペンス小説以上の緊張を伴う。
スノーデンは、グリーンウォルドが想像していたよりも随分と若い。
彼の言葉でまず最初に驚くのは、携帯電話は電源が切ってあっても監視でき、冷蔵庫に入れるか、持って来てはダメだということ。
要は、国家はその気になれば、どんな相手だろうがどのようにも監視ができるということ。
セキュリティ対策、という言葉がしらじらしいほどのIT社会。
スノーデンの話は、信じがたい内容を次々と暴露し、暗澹たる思いにかられる。
そしてこれは、米国とか英国だけの話だろうかと、ふと疑問に思う。
グリーンウォルドは、第3章でスノーデンが託した収集ファイルの内容を提示し、
続く章で、監視の害悪、そしてメディアが政府の操り人形となっていることに痛烈に論評する。
この本に書かれている事実の詳細を、いちいち述べるのはやめておこうと思う。
自ら読んだ方がよっぽど内容に説得力があり、かつ、これは万人の必読書だと思うからである。
『スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実』(ルーク・ハーディング著・三木俊哉訳、日経BP社・2014年)。
情報機関による電子通信傍受は、主に9・11テロ後の政治的パニックのおかげで、もはや手のつけられない状態になっていることがわかる。
法的な縛りを逃れ、アメリカを安全にしようと躍起になったNSAと、その兄弟分である英政府通信本部(GCHQ)は、「インターネットをマスター」すべく手を尽くしている。
その結果、世界はスパイ天国と化した。
グーグル、スカイブ、携帯電話、GPS、ユーチューブ、Tor、Eコマース、インターネットバンキングなど、
個人の自由や民主主義に資すると喧伝されたテクノロジーは、『1984年』の著者、ジョージ・オーウェルも真っ青の監視マシンへと変貌している。
(序文より一部抜粋)
この『スノーデンファイル』は、当然のごとく『暴露』の記述とダブった内容となっている。
しかし、『暴露』が個人による視点からであるのに比べ、こちらはスノーデン自身のことについても掘り下げた、いわゆる、やや週刊誌的な記述方法である。
だから、このスクープ記事に対して、客観的な拡がりも感じられる。
もっとも、著者であるルーク・ハーディングは、ガーディアン紙の海外特派員でもあるから、ガーディアン紙のこと、英政府通信本部(GCHQ)の記述も多い。
それが、ちょうど『暴露』を補完する形となって、この二冊によって、記事内容に深みが増してくる。
来春に映画『シチズンフォー』(ローラ・ポイトラス監督、2014年)がDVDレンタルされるはずである。
その時は、再度この映画を観てみようと思う。