原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

拝啓 小沢一郎 様

2012年06月15日 07時58分02秒 | 政治

 

北海道では爽やかな初夏の風が吹く季節となりました。近頃、盛んにテレビに登場し、活動に邁進される姿を拝見させていただいております。ますます意気軒高のご様子に、複雑な思いにかられる日本国民の一人です。消費税の増税に対しては「国民の生活が第一」「増税の前にやることがあるだろう」「国民との約束を守れ」と、現政府与党に対する意見を声高らかに宣言するその姿勢は、野党をもしのぐ勢いを感じます。その主張は極めて当を得ていると思っております。しかし、なぜでしょうか。あなた様が声を上げるたびに、妙な違和感が増幅することを禁じ得ません。いままで、見せつけられた言動不一致や突然の裏切りの記憶がそのたびに蘇るからなのです。

 

思い起こせば三年前、まるで熱にうなされたような夏の選挙でした。あなた様の民主党は熱狂的な票を集めて政権与党となりました。ところがです。最初のマニフェスト破りは、あなた様が実行しましたね。選挙前、自民党叩きとしてさんざん言い続けていた「ガソリン税の暫定是率廃止」を真っ先に破棄してしまいました。官僚の天下りを根絶すると約束しながら、いきなり日本郵政の社長にあなた様の馴染みの官僚を登用させました。意外な行動に、私たちは「あれ、あれ!」です。言ってることとやることがずいぶん違うな、という最初の衝撃がこれでした。もっとも、政権与党となったとたん、皇室の1カ月ルールを独断で破ったり、新人議員を引き連れて中国詣での弾丸ツアーには、いささか神経を逆なでされていました。これほどの媚中派とは想像できませんでしたから。

その後、不動産疑惑や政治資金収支報告書の不備が発覚。黒い部分がどんどん表に出ました。それでもあなた様の演技は見事でした。鳩山元総理の愚かな普天間騒動の際は、ただじっと陰に隠れていただけ。あの剛腕はどうしたのかなと思う間もなく、元総理とともに退陣。沖縄の反感をすべて鳩山元総理に押し付けましたが、責任の半分以上はあなた様にありました。なにしろあのマニフェストを宣言させたのは、あなた本人だったからです。しかしながら、全く知らないそぶり。見事な演技でした。これを日和見主義者の裏切りと言わずしてなんと言えばいいのでしょう。

菅前総理との総裁選に華々しく再登場しながら、無惨に討ち死に。この時、すでに民主党内での人望さえ失っていたようでしたが、あなた様は気づいておられなかったようですね。その後も菅前総理に対する執拗な反対行動は党内野党そのもの。世の中の不信を一層拡大させてしまいましたね。しかもそれがことごとく空振りだったではありませんか。権力に取りつかれた政治家の悪あがきに見えていました。菅前総理の愚かさもひどいものでしたが、その愚かな総理さえあなた様は倒すことができなかった。自分の力の劣化を気づかれなかったようですね。それはまさしく老化だったのでは。剛腕と呼ばれた若かりし日が懐かしいくらいです。最悪だったのは、自民党が出した総理に対する問責決議案に賛同すると言っておきながら、土壇場で驚くような敵前逃亡をやったことです。松木議員が涙を流していました。これはあなた様の裏切りによって起きたことでした。

 

検察審査会では無事に無罪を勝ち取りました。おめでとうございますと、言いたいところですが、判決文を読むとまったく違いますね。共同謀議については無罪といっておりますが、他のすべてについて罪人扱いです。特に強烈だったのは政治資金規正法の精神にまったくそぐわない行為であったと断じています。これは政治家として基本的に駄目だと烙印を押されたことと同じではないでしょうか。本来なら政治生命を絶たれるほどの判決文です。ましてや秘書三人が有罪です。その道義的責任をまったく無視するあなた様。あれは秘書がやったこととふんぞり返ってますね。このような政治家をどうして信用できるでありましょうか。まだ信じよと言われても、それにすがる根拠が残念ながらなにも見つかりません。

 

そんなあなた様が主張する「増税反対」「国民の生活が第一」のスローガンはすでに色あせ、ボロボロになったゼット旗に見えてしまいます。なによりも民主党の会議で決定したことです。それを本気で覆す気があるなら、ましてそんな力があるなら、今国会中にあなた様のグループで総理の問責決議案を提出したらどうでしょうか。消費税採決の前にです。それくらいの気構えを見せないで、増税反対の旗をいくら振っても本気とはとても思えません。どうせまた裏切って、採決の前に逃亡(棄権)するのではという疑いが消えないのです。所詮、「解散したくない病」の発露にしか見えません。あなた様の増税反対の本気度を、党を割る覚悟で、見せてください。でも、どうやらそれもないようですね。なんとなく本心が透けて見えてくるようです。解散したくないと願っても、来年の夏には任期満了です。それほどの延命期間ではありません。その間に何かとんでもないことを画策しているとでも言うのでしょうか。そんな力などとてもないように思います。誠に残念であります。どうせ選挙となれば、あなた様をとりまくお仲間はほとんど討ち死になさるでしょう。寂しくなりますよ。まさしく退陣するなら今ですね。さすれば、多少の価値は残るのではないでしょうか。

 

本日15日は、自公民の三党による増税案の修正会議の最終日です。果たしてまとまるのかどうか。面従腹背のヌエ幹事長がどう邪魔をするかですね。採決までまだ多くの壁がありそうです。一見すると野田総理が追い詰められているように思えますが、小沢様あなたの方が瀬戸際ですよ。総理はとっくにあなた様を見限っていますから、解散も大いにアリなのです(違憲状況ではありますが)。

そんな折も折、週刊誌にとんでも記事が出たそうですね。奥方様から発信された離婚騒動とか。なんでも放射能が怖くて東京から逃げ出したことまで書かれているそうですね。こんな記事を読む気など全くありませんが、あなた様をとりまく環境はまさに断末魔の様相です。落ち目になるといろいろあるものなのだと感じさせることは、確かです。

 

巻頭の写真は、釧路湿原で見つけた野生のエゾスカシユリです。湿原に咲く美しい一本の野花と小沢様の姿をダブらせているとお思いでしたら、それは誤解です。この花はエゾカンゾウ(ニッコウキスゲ)やヤマユリとよく似ていますが、花弁が違います。花を上から見ると花弁の根元が細くなっています。花弁の根元が重なっておらず、向こう側が透けて見えます。その形からエゾスカシユリという名前が付きました。つまり底がすけて見える。小沢様の心の底がすけて見える、という意味で使いました。エゾスカシユリの方から文句がきそうです。お許しください(花の方への謝罪です)。

 

小沢一郎様、末文となりましたが、この辺でそろそろ政界を退場なされて、本業である不動産業に専念された方がよろしいのではないでしょうか。これ以上、日本の政治の劣化を促進させないためにもです。僭越ながら、これはお願いであるとともに、ご忠告を申し上げているものであります。

最後まで日本国民の本音の独り言にお付き合い頂き、ありがとうございました。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
面白かった! (numapy)
2012-06-15 12:12:04
いやぁ、実に痛快ですね。こうやって時系列で追い掛けてみると、魑魅魍魎ぶりがよくわかりますね。
今月号の文春に、座談会「日本の政治をダメにしたA級戦犯」が掲載されてますが、小沢一郎が最大戦犯と断じている有識者が殆どです。
小沢親分(いやぁ、子分の面倒もみないのだから親分じゃないか)、そろそろお得意のトンズラをやったらどうですか?
いyたぁ、トンズラの前に政党助成金の隠し場所を教えてくださいね。
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小沢時代は終わりました。 (genyajin)
2012-06-15 13:28:20
国民との約束を大切にしろとか、ルーピーも言っておりますが、政権交代してから実現できたマニフェストはどのくらいあったのでしょうか。三年も経過しているのにです。主要なものは達成率ゼロです。これでも政党のマニフェストですかね。できもしないことを言ったわけですから、本来なら解散総選挙ですよね。でも一票の格差の違憲状態と言うネックがあります。まったく決められない日本政治の象徴ですね。残念無念です。
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Unknown (Unknown)
2012-06-30 11:15:02
よくわからん。
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