原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

2012年に選出された世界の元首の評定

2014年02月18日 10時45分01秒 | 政治

 

今思えば2012年という年は不思議な年周りであった。日本に関連の深い国々のトップリーダーたちの選挙が相次いだ。日本を含めると7カ国。1月は台湾。3月にロシア。4月にフランス。10月に中国。11月にアメリカ。そして12月に韓国と日本。2年以上経過した元首もいれば1年余りの元首もいる。ハニームーン期間(6か月)を過ぎた彼らに、国民の厳しい勤務評定が出そろったようだ。世界の政治が変わるかもしれないと興味深く見守っていたが、その多くが国民の期待を裏切ってしまったようにみえる。これは私見ではなく客観的な報道を集めた評定である。

 

まず1月に選出された台湾の総統選挙。馬英九が選出された。この選挙には馬候補を勝利させるために中国が全面バックアップした。中国に進出している台湾企業を継続させるために馬候補を当選させろと圧力をかけた。馬候補は国民党。中国との連携を進めていた。中国にいる台湾人を帰国させて投票所に行かせるために飛行機の臨時便まで用意した。当初不利と見られていた馬候補が逆転勝利した背景がこれであった。そして2年。馬候補の台湾での現在の評価は支持率8%。「史上最低の支持率の国家元首」という称号をもらっている。期待された中国との連携がそれほどうまくいかず、台湾経済も一時の勢いがなくなり、急激に衰退したことによるもの。やはり中国との連携は考えものだと台湾国民が反省した結果なのだ。

3月のロシアはプーチンの返り咲き。これは予定の行動であり、人気に陰りが見えたといえども、やはりプーチンがロシアには必要であった。しかしその後の度重なるテロや経済不況、国境付近での中国の進出など課題は山積み。北方四島問題があるにしても日本との関係性を深める必要があった。プーチンがまだ力があるうちに北方領土問題に道筋をつけるチャンスでもある。一方、現在開催されているソチ・オリンピックの成果がプーチンには絶対必要となる。開催には何とかこぎつけたが、開発資金の不正流用やテロ対策など、国民の不満は経済の失墜とともにプーチンにのしかかっている。これからどう威信を回復するのか、真の手腕が試されるところか。

4月のフランスはオランド大統領だった。昨年来、女優との不倫が発覚して世界中から注目を浴びた。もともと結婚はしていないので、不倫と言っていいのかどうかも分からない。フランスという国はこうした関係には妙に甘いようで、この件についてはそれほど問題となっていないらしい。大統領の不人気の原因は増税政策。歴代最低の支持率21%となった。この大統領に次は確実に無いだろう。

10月は中国で集近平が第5代中国共産党中央委員会総書記に就任。選挙の無い中国ではこれは既定路線で、この時から新しい指導者となった(国家主席となるのは20134月である)。この元首は中国共産党を守ることに集中して、国民のことはあまり考えていないらしい。チベットやウイグル地区で見せる強権は反対勢力を刺激している。国内で起こる暴動騒ぎは年間1千件を上回り、テロ対策費用が国の防衛費並みに膨れ上がっている。追い打ちをかけるように経済が失墜傾向。不動産バブルの危機。闇銀行のデフォルトがささやかれる始末。防空航空識別圏の設定では世界のひんしゅくを買い、尖閣諸島や南沙諸島、西沙諸島への進出で周辺国に敵をつくりだしている。さらに、北京の汚染は人の住める状況ではないとまで言われているが、依然として何ら対策を出せない。一方では韓国と連携して反日体制を整え、ますます問題をこじらせている。ただ国内での反日行動は徹底的に抑えている。安倍総理の靖国参拝に対しても、文句は言うがデモなどは規制した。2012年の暴動デモの結果、あまりにもダメージ大きくなったことが教訓となったらしい。しかし、軍部の掌握が全くできていないので、尖閣付近での小競り合いは継続している。中国軍の勝手な行動は為すがままだ。極めて危険な国となっている。

11月のアメリカではオバマ大統領の再選となった。ここにきて、どうやらこの大統領の本質が見えてきた。演説ほど政治能力はないらしい。シリア問題で外交能力も疑われだした。なによりも国内政治が全く機能していない。予算編成はもちろん持論である国民健康保険制度も議会を通せないほど無力。すでにレームダック状態という人もいる。今後の日米関係にも不安を感じさせる。

12月は韓国で初の女性元首である朴大統領が登場した。残念ながらここまでのところ政策らしいことは皆無。ひたすら反日の告げ口外交に徹している。日韓関係が冷え切って困るのは韓国経済。当然、経済界からクレームがついているが、振り上げた腕の落とし所が見つかっていない。中国にすり寄っては見たが、アメリカから一喝され、どうしたらいいのか分からず右往左往。いつまで歴史認識を騒ぐのか。慰安婦問題に加えて、東海の表記問題。クレーム外交に世界があきれ始めている。北朝鮮がせせら笑っている様子が見える。

 

最後に登場したのが日本の安倍晋三。アベノミクスの推進で経済が一息。前政権の無策が招いた落ち込みを取り戻しつつある。日本版NSCの成立、特定秘密法案など1年の間に立て続けに成立させた。勢いに乗って靖国参拝。予想通り中国と韓国が反発。アメリカも失望と発言したが、最近はその声さえ聞かれない。中国や韓国との首脳会談は開かれていないが、インドをはじめ日本周辺のアジア諸国やアフリカ中東諸国と密接な関係をつくっている。外交政策は見事だと言わざるを得ない。ロシアとは北方領土問題に解決の糸口を見つけようとしている。これは中国や韓国にはどう映っているのか。たぶん焦っているだろうと思う。いずれにしても、前の6人の元首に比べると、はるかに勢いがよく元気に見える。もちろん、まだ途中経過であり、本当の成果はこれからである。ただ、これだけ周辺の元首がレイムダック状態だけに、かなり足を引っ張られる可能性がある。とくにアメリカ大統領のふがいなさは日米安保にも大きく影響するかもしれない。その事態になった時こそ、安倍総理の真価が問われることになるだろう。

 

それにしても、新たに国家元首となりながら、わずか2年もたたないうちに行き詰まり感が漂うという国があるというのは異常。1年の間に7人も元首が変わるという偶然は、どうやら地球に異常事態を呼び込む結果となったのかもしれない。


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2 コメント

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小物になったんですかねぇ… (numapy)
2014-02-18 11:06:53
1強だったアメリカに陰りが見えて、世界がフラットになってきてしまったんですかねぇ
それはそれでウレシイですが、なんだかどの国も
どの地域もどう進んでいいのかわからなくなってる気がします。
”ホワイトアウトの時代”とでも言いますか?先が全く見えない。
自分の居場所もわからない。息が詰まってるのかもしれません。
レジェンド葛西とその仲間たちのような、快挙が欲しいですね。
それにしても暴風雪はすごかったですね。標茶のブリザード、ニュースで流れてました。
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やはり衰退だと思います (原野人)
2014-02-20 09:35:36
トップリーダーたちのレベルがどんどん低下していった結果が今の世界情勢だと思います。特にアメリカの衰退がひどい。アメリカにも人材がいなくなったのかも。といっても、その前のブッシュが良かったのかと言えば、そうでもなかった。でもその頃のアメリカにはまだ力があったと思います。それがなくなったので、リーダーの力不足が目立ってしまったのかもしれません。
日本は早く本当の意味の独立をする時が来たのだと思います。独自外交はその一つの手段だと思います。
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