原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

国防軍

2012年11月30日 07時38分57秒 | 政治

 

夜、テレビのニュースで、安倍総裁の自民党が提唱する自衛隊を国防軍とするという公約に対する市民の声が放送されていた。「そんなこと言ったら外国はびっくりするよ、なんだと思うよ」と、あるおじさんの意見。これを聞いた瞬間、口に含んだばかりのビールを思わず噴き出しそうになった。「エッ!」である。二つのとんでもない間違いがここにある。街の声というのはたくさん収録する。その中から選択して放送するのが決まりだ。よりによってこれを流すのかよ、という思いがあった。番組のディレクターが無知だからこれを選んだのか、それとも意識的だったのか。いずれにしても、粗雑過ぎる。もし意識的なら、市民の声というベールに隠したテレビ局のある種の操作である。

 

はっきり放送局名を明示しよう。TBS(北海道ではHBC)の全国ネットのニュース番組である。かつては、今は亡き筑紫哲也がキャスターをしていた番組。いろいろ噂はあったが、やはり問題は消えていない。この番組にその日、安倍晋三自民党総裁が出演していた。明らかな演出の匂いがした。

 

まず間違いを指摘しよう。自衛隊から国防軍になる。この漢字を理解できる外国人は中国人と韓国人(朝鮮人)しか世界にいない。外国はびっくりするよというのは、この国だけの話。少なくてもヨーロッパやアメリカでは国防軍と言われてピンとくる人はいない。漢字を知らないのだから。

次の間違いは国際常識だ。まず自衛隊が海外ではどう表記されるかと言うと、Self-Defense ForscesFotscesとは軍という意味。つまり直訳すると自衛軍となる。すでに軍隊と位置付けられている。国防軍を国際表記するとNational-Defense ForcesSelfNationalに変わるだけ。世界がびっくりする理由がない。この点について、安倍総裁も明確に指摘していた。国連では自衛隊は軍隊と認識されている。だからジュネーブ条約が自衛隊にも生かされ、戦場で自衛隊員が捕虜となっても軍人扱いされることになっている。したがって、この一市民の声はまったく頓珍漢なものであることは誰にでも分かること。心あるディレクターならこうした声は電波にのせないものだ。意見の質が悪いのが見えてしまい、アンケートの質が問われかねないからだ。それでも出すと言うのは、ある種の意図があるからなのではないのか。

 

安倍総裁の説明に反論一つできないキャスターは、話題を憲法9条に換える。安倍総裁が基本は憲法を変えなければならないという前提を説明したからだ。極めて当たり前の話だ。するとキャスターは、憲法9条の「戦争を放棄する」は変えないということですか?と聞く。ミエミエの演出がばれてしまった。もちろん安倍総裁は明快に言う。憲法を変えると言うのはその付則条項です。軍隊を持たないと言う、国際常識と違う日本の憲法を改正しなければ意味がないからですと、これまた突っ込み用のない解説。世界は軍隊と認めていると言うのに、そうではないと日本国憲法が言っている矛盾は誰が見ても不自然。それを直さないこと自体、日本の見識が疑われる。

偏狭なイデオロギーを持つ一部の人間は、国防軍と言うとすぐ徴兵制度だとか、自民党は戦争に向かっているとか、子供じみた論争に飛躍する。あの細野が特に強調していた。まさに幼稚な論争でしかない。TBSのキャスターは何一つ反論できることなくこの話が終わる。つまり、仕掛けた演出が見事に不発に終わっていた。

 

私は決して右翼思想の人間ではない。ただ反日思想が嫌いなだけ、極右翼も嫌いだ。その私が見ても、この国防軍否定論争は不自然極まりない。私なら憲法9条はこう変えたい。「他国を侵略する戦争は永久に放棄する。だが、日本が侵略された場合の国防のための戦いについてはその限りではない」。それだけ変えれば十分だろう。そのための国防軍であると思うからだ。国として当たり前の考え方で、これに異論をはさむ方が無理がある。社民党や民主党の方々よ(共産党は論外)、まだ理解できないのとしたら、完全に偏狭イデオロギーの虜としか言えない。世界は日本の軍隊に対してごぞって集団的自衛権の行使を求めている。それができないのも憲法のせいであり、日本軍隊はそれほど歪んだ(世界の非常識の)軍隊なのである。

 

それにしてもこんな子供じみた論争を全国ネットのニュース番組でとりあげること自体不自然。残念ながら、このテレビ局の本質を見てしまったように感じている。

 

余談だが、かってこの番組でキャスターをしていたのが故筑紫哲也氏。その娘がいま市民の党の代表の妻。そして、その市民の党は北朝鮮にいるよど号事件のメンバーと深く関わり、その中の一人の息子を前回三鷹の市会議員選挙に立候補させている(結果は落選)。この市民の党に管直人前総理が多額の寄付金を献上している。鳩山元総理もそうである。他に寄付をした民主党議員の名前がたくさんあがっている。寄付行為は違反ではない。しかし北朝鮮と密接な関係のある市民団体に日本の議員が寄付をするということは、どういうことなのだろうか。

この市民の党の支援を受けて滋賀県知事となったのが、日本未来の党の代表である嘉田由紀子。なんだか、すべての糸がつながっているようだ。だがこのことはもう日本中に公開されている話。だが、大マスコミのジャーナリストは決して口にしない。なぜなんだろう。どんなに隠れていても、この新党の中に小沢一郎が存在している。この党に集合した90%が小沢の部下たち。すべてが出来レースである。日本国民はこれほどバカにされ続けているということだ。不愉快極まりない、と、普通の日本国民は怒る。

 

拉致被害者の親御さんが悲痛な叫びをしているのを聞いた。「北朝鮮による拉致事件を解決するためには日本の憲法を変えなければ無理だ!」。その通りである。北朝鮮の不審船が逃げるのを海上保安庁は何度見逃したことか。現実に領海侵犯した船を攻撃することもできない。憲法がそれを許さないからだ。竹島が奪われたのもサンフランシスコ条約の前。軍隊がないために奪い返すことができなかった。尖閣諸島の日本領海に無断で入り込む中国船を排除できないのも日本国憲法があるためだ。

今度の選挙で安倍総理が打ち上げた憲法改正に異を唱える日本人がいることさえよく分からない。そして日本国憲法の改正に明快な答えを出さない政党(日本維新の会を除く)に違和感を覚える。彼らは日本のことを本当に考えているのだろうか。これは保守とか革新という枠の話でなく、日本国という国民の当たり前の問題ではないのか。

いまある日本憲法は連合軍に占領された時代の前提的な憲法であることはアメリカでさえ認めていると言うのに。それが分からない日本人が政治家を含めていると言う不思議を、強く感じる。

 

*日本には法に定める国花はないが、皇室の御紋である菊とともに桜が国花として認められている。日本を象徴する桜を大切にしたい。戦後67年間も経過した。お花畑で惰眠をむさぼっていた時間が長すぎた。そろそろ目を覚まさなければならない。


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2 コメント

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誰もが禁じてる禁じ手! (numapy)
2012-11-30 14:39:59
いやぁ、洒落てる場合じゃないけど、もはや呆れて呆然とするばかりですな。あまりにも酷すぎる。情けないです。
嘉田を利用して「汚沢」はゾンビのように蘇りましたね。これで何度めだろう。エボラ出血熱のウイルスのように感染母体を食いつくしてから他の感染先を探す…。
「金券をジャンジャン印刷して金を溢れさせれば、デフレを脱却できる」とのたまう単細胞脳…。こんなやつらだけが候補になり、選択肢のない我われのことも考えなさい!噛みつきたいですね。北海道7区。投票したい奴が誰もいない民の不幸を政治家は何と答えるのでしょう…?
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ゾンビは死なない (genyajin)
2012-11-30 15:29:23
日本をむしばむものは、どうやら日本人のような気がします。どうしてこうなってしまったのか、については我々にも責任があるのかもしれません。晩年を迎えて気づくとは、遅すぎますね。しかし、働くこと、生きることに一生懸命の時期はなかなか気づくことができないというのも現実です。そうしたスキをゾンビたちにむしばまれたようです。これから一票ずつでこれらゾンビを駆逐していくしか方法はありません。時間がかかりますがこれしか方法はないようです。
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