原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

二日酔いに酸辣湯の日の出来事

2011年02月08日 08時44分44秒 | ニュース/出来事
毎度のことながら、月曜の朝は二日酔いが多い。日曜の夜に深酒が多いからなのだが。とにかく朝が辛い。まさにブルー・マンディーなのだ。食欲ゼロ。流動食しか胃は受け付けない。みそ汁がやっと。昼になるとさらに辛い。外で食事をと思うが、月曜日は馴染みの店がみな定休日。そんな時に見つけたのが隣町の中華店。ここの酸辣湯(サンラータン)が二日酔いにピタリ来る。四川風のピリッとした辛さがあり、程よい酸味が酒にただれた胃袋を癒す。個人的な嗜好だから、すべての人に効くとは思わないが、二日酔いの折に一度試してみてはいかが、と思う。

例によって二日酔いの胃袋を癒そうと、昼時に訪れた。午後一時を過ぎたと言うのに、8人ほどのグループが食事をしていた。どうやら町内の主婦連らしい。高い声の響きは、痛みの走る脳に響く。まいったな、と思いながら、少し離れた席に座る。いつものように酸辣湯をオーダーした。席が離れていても主婦連の遠慮のない声は耳に届く。孫がどうしたとか、漬物がどうしたとか、たわいない話ばかり。うんざりしていた時である。突然、「中国が北海道の土地を買っているらしいね。冗談じゃないわね」「法律で止めなきゃね」
二日酔いの頭がビクッとした。なんという話の展開だ。思わず、主婦連に目をやった。どうみてもただのおばさんたち(いやお母さんたち)。こんなことも話題になるのか。しかも、かなり腹を立てている様子だ。二日酔いのわが頭が、少し良くなった。顔に笑みが浮かぶ。

隣町、つまり弟子屈町は温泉の町。摩周温泉と銘打っている。川湯温泉も弟子屈町に属する。阿寒国立公園の入り口の町だ。近年の不況の影響か、温泉客の減少で町は寂れる一方(失礼とは思うが真実である)。そんな時、中国人(台湾人も含む)の北海道観光が急増した。一時ではあるが多少の助けになった。弟子屈町(川湯も含め)も多少の恩恵があったはず。
それなのに茶飲み話に、これほど反中国感情が盛り上がるとは。どうしたというのだろう。新しい風が吹き始めたというのか。

これは、日本を徹底的に甘く見て、傍若無人だった中国戦略の真意が、ようやく普通の日本人に理解された証拠なのだ。この大きな流れを生んだきっかけは、やはり昨年9月の尖閣諸島沖での中国漁船の体当たり事件だ。民主党のまずい対応が国民の怒りを買った。これまでの経験から中国は、多少問題があってもちょっと脅せば沈静化すると思っていたはず。そこでフジタの社員を拘束、レアアースの輸出禁止を打ち出し日本に揺さぶりをかけた。あわせて中国政府首脳たちが声をそろえて日本に対する強硬発言を連発する。悪いのは日本だ!というキャンペーンをやった。ビビる民主党はあわてて、懸命に中国をなだめ、弱腰戦略に出る。仙石前官房長官は「偏狭なナショナリズムをかきたてないように」など頓珍漢なメッセージを出して、漁船や船長を解放した。とたんに日本に真正なナショナリズムが吹きあがったのである。
おまけに隠そうと懸命だった漁船の体当たり映像が流出。すべてが明るみに出て、中国のねつ造発言と横暴さが明らかになる。中国政府がいかに嘘をついていたかが証明されてしまった。
これまでも多くの人が中国の欺瞞を指摘しても、オリンピックをやった国だから、それほど悪くはないよ、というのが一般的な感情であった。まして日本に買い物に来てくれてカネを落とすのだから多少はいいよ、と思っていた日本人がたくさんいた。その人たちの心をこの事件が一変させたのである。民主党のお粗末な外交で日本は窮地に追い込まれたけれど、逆に日本人は真実に目覚めてしまった。覚醒したと言ってもいいだろう。

(尖閣諸島の一つ、魚釣島)

中国よ、ミスったな!である。日本人を甘く見て、脅せばどうでもなると思っていたことが、いま全部裏目に出ている。いままでそんなに問題にならなかった北海道の山林の買い漁りや企業買収などが話題になる。当然、不動産業も警戒する(いままで無警戒すぎた)。外国人の土地取得規制法もいいけど、この際だから、中国資本には通常の二倍三倍の価格をふっかける手もある。かつての日本はそれで大損した経験がある。こんな時こそあの屈辱的な経験を生かすべきなのだ。日本はもっとしたたかになるべきだ。
経済界もあまりにも中国一辺倒だった輸入体制を見直し始めた。当然であった。あの国は信頼に足る国ではないことがようやく分かったのだから。さらに大きなことは、この事実を世界も知ってしまったことだ。国際的にも信用はどんどん落ちている。中国政府もこのまずさを感じ始めたようだ。尖閣問題については以後一切口をつぐんでいる。自分たちがミスったのを知ってるからだ。

中国の経済力は成り上がりそのもの。バブルがはじけたなら恐ろしいことになる。その危険性をまだ感じてない日本の経済人もいるのが残念だ。あの尖閣問題の時、漁船の船長の釈放を真っ先に政府に迫ったのは日本の経済界だった。こんな経済人が多いから日本の衰退がはじまったともいえる。

いま普通の人までが、中国人を警戒し、尖閣諸島に自衛隊を置くべきだと言い出している。憲法改正もあり得る風潮となった。あの尖閣事件を境にして日本の流れが変わったように感じる。護憲派の左翼たちは今後どんな巻き返しをしてくるのか。中国の愚かな戦略ミスのつけが、これからどんな展開を見せるのか。油断はできないが、少しいい風が吹きだしていることはたしかだ。二日酔いの頭が回りだした。

余談だが、弟子屈町の中華店の酸辣湯は、本場中国よりおいしいと個人的に思う。実は中国でこのスープを各地で食べ歩いた。いろいろな省で味わってみた。みな自分たちが本場だと言う。中国人得意の言い方だ。しかし本場はやはり四川省だと思う。本来家庭料理なので、味がそれぞれ違うのは当然。まずいのもたくさんあったし、良いのもあった。その経験からいって、弟子屈のそれは間違いなく、そこそこ、おいしい。
そういえば、今も世界を回っている友人のカメラマンは、外国で中華店に入ると必ず酸辣湯をオーダーする。その味でおいしい中華店かどうか判断していた。一つの見識であることは間違いない。

それにしても、中華料理店で中国人批判。皮肉でいい。ところで、この中華店の主人は中国出身の人なのだろうか?それとも日本人か?一度聞いてみたい。もちろん深い意味はない。

*巻頭の酸辣湯の写真は、弟子屈の中華料理店のものではない。ウィキペディア(Wikipedia)からの写真。もっと卵が少ない。

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4 コメント

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ああ、民主党・・ (numapy)
2011-02-08 09:58:52
名古屋でも惨敗、夜中までテレビ画面を食い入るように観てたあの政権交代は何だったのか…。
中国に留まらず、今度はロシアだ。舐められてますね、完全に。
腹の立つ時は、二日酔い時と同様優しい料理が癒してくれるモンですが、残念ながら阿寒にはそれがない。
釧路まで出かけるのも面倒くさいし…。
あ、今気が付きました。二日酔いでも弟子屈まで出かけていく胆力が必要なんですね。反省!
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胆力ではありません (原野人)
2011-02-08 17:02:46
ただの欲です。

一時間でも早く治して、再び夜飲むための準備と言ってもいいでしょう。ただの欲張りです。
ま、いつまでも続けられることではないですね。そろそろ酒量は考慮しながら飲む時期に来ているような気がします。また時には休肝日を作らなければいけないと、自覚しつつあります。こちらも反省の日々です。
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Unknown (flowers)
2011-02-18 13:11:35
弟子屈で酸辣湯ですかぁ。
あったまりそうですね。
中国の人だったら、どこの省の人でしょうね。
深い意味はありませんが。
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弟子屈もいけます。 (原野人)
2011-02-18 14:46:37
>flowersさん。

最近も酸辣湯は、いってますか?弟子屈のが結構いいです。機会があれば一度お試しを。
あの店は全体的には広東風の料理と味です。その後も行っておりますが、なかなか出身まで聞けません。そのうち調べます。
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