やんまの気まぐれ・一句拝借!

俳句喫茶店<つぶやく堂>へご来店ください。

ふるさとの余白に鵙の高音かな 鈴木美奈子

2016年09月24日 | 俳句
50
鈴木美奈子
ふるさとの余白に鵙の高音かな

人は誰でも心にふる里を持つ。例えば生まれた土地に今も暮していても幼馴染と遊び暮らした昔のその土地がふる里の記憶となる。雷親父が居て悪餓鬼が居て弱虫の妹が居てと言う記憶を呼び覚ませば、何故か枯枝の尖んがりに陣取る鵙が一緒に出て来る。立秋も過ぎて日一日と深まる秋。逍遥する私を高みから見物しながらツンと鵙が高鳴いた時、つとふる里の記憶が甦った。ふるさとの記憶の余白には鵙が棲んでいる。掲句は連句「ふるさとの余白」の巻の冒頭である発句からいただいた。連句は和の文芸「座の文芸」と言われ、日本人が古来から親しんできた五七五と七七のリズムを「座」の参加者全員が交互に連ねて一巻の作品にしあげるもの。その発句がやがて現在の俳句ジャンルとして独立をなした。『魚すいすい連句を泳ぐ』(2012)所収。:やんま記

最新の画像もっと見る

コメントを投稿