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春灯にひとつの奈落ありて座す 野沢節子

2019年02月15日 | 俳句
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野沢節子
春灯にひとつの奈落ありて座す

春燈と秋燈。おなし燈に心の世界では180度の開きがある。まだまだ明るい光の春と終焉を前にした秋の光と。さてその未来や希望に満ちた春の燈に一つの奈落があると言う。愕然として腰が抜けたように座りこむ。明るい未来がある。青春切符を買って旅の準備も整えた。慕う彼とも順調な関係である。こんなに上手く行くはずは無いと思いつつもそんな人生を歩んできた。どこかに落とし穴があるはずだ。きっと奈落に落ちてゆくのが自分だとの覚悟も出来ている。それを救ってくれるのは茫々たる春灯の寂光だろうか。:山本健吉「鑑賞俳句歳時記」(1997年1月15日)所載。
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